CMO株式会社
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文脈別テーラリング

概要と対象範囲

業種・規模・成熟度別の CMO Marketing OS Playbook 調整指針を扱う横断参照章。各 KA 章の §X.3 Tailoring 節を横断する位置づけ。

CMO Marketing OS Playbook は省略不可な 中核条件 と、文脈に応じて軽量化・拡張する 調整可能項目 の二層に分かれる。テーラリングは「省略の正当化を残すこと」が条件であり、「やらなかった」と「意図して外した」は別物として扱う(../foundations/principles.md 補題 H)。

中核条件(文脈に関わらず省略不可)

これらを欠くと CMO Marketing OS Playbook が機能しない要素:

  • Customer Sync の独立保持 — 規模に関係なく ICP 仮説と顧客実態を別の記録として残す
  • 再構築段の存在 — 1 行のメモでも良い。「何を、なぜ再構築したか」を残すこと自体が省略不可
  • 本番反映前チェックの省略不可項目(オーナー / 計測 / ロールバック)
  • 学ぶ段の書き戻し — 検証済みかどうかの判定は最低限残す
  • AI 出力の採否ログ — 規模と無関係に必須

中核条件を文脈を理由に削るのは、テーラリングではなく中核条件の違反として扱う。

調整可能項目(文脈で調整)

要素 簡易運用(1 人 / スタートアップ初期) 標準運用(小〜中チーム) 厳格運用(規制業種 / 複数事業部)
4 つの観測対象 Team Sync は自分自身のみで可。Customer / Performance は必須 4 観測対象すべて 4 観測対象 + 部門別並走
12 KA カバレッジ 該当 KA のみ点検 主要 KA を四半期に 1 回点検 全 12 KA、KA 別 owner、月次点検
理解・分析する 4 視点 1〜2 視点で十分(多くは CEO + Customer) 案件に応じて切替 4 視点 + 外部 advisory
/brand スキップ可(個人ブランド一致) 案件単位 リリース毎、法務同席
本番反映前チェック 7 項目 省略不可の 3 項目(オーナー / 計測 / ロールバック) 7 項目 7 項目 + 承認ログ + 法務 / 計測監査
実行管理成果物 必要なものだけ 複数人・複数日・外部依存があれば作成 実行計画 / ステークホルダーマップ / リスク登録簿 / 変更履歴 / リソース計画を原則作成
再構築段の頻度 四半期 月次 週次(複数事業部の portfolio 含む)
/learn 書き戻し先 results/ のみ results/ + profile/ results/ + profile/ + organization/ + knowledge/marketing/tool/ knowledge/marketing/case/
AI 採否ログ粒度 1 行サマリ 採用 / 不採用 / 理由 採用 / 不採用 / 理由 / 代替案 / 法務確認

文脈別ガイド

B2B エンタープライズ

  • 重点: ABM、長期商談、Sales / Product / Engineering との接面(15 章)
  • 重み高い KA: 05 / 06 / 07 / 11 / 15 / 16
  • 設定: 本番反映前チェック全 7 項目、実行管理成果物ほぼ全て、承認フロー厚い

B2B SaaS

  • 重点: PLG、Product Marketing、Customer Success 連携
  • 重み高い KA: 06 / 07 / 09 / 11 / 13
  • 設定: 標準運用。Aha! Moment / TTV 中心

D2C / コンシューマー

  • 重点: ブランド・想起、Lifecycle、SNS / インフルエンサー
  • 重み高い KA: 06 / 08 / 11 / 12
  • 設定: 標準運用。クリエイティブ生産速度が KPI

リテール(店舗 + EC)

  • 重点: オムニチャネル、Retail Media、店舗連動
  • 重み高い KA: 06 / 11 / 12 / 13
  • 設定: 標準運用 + 店舗オペレーション接面

規制業種(医療 / 金融 / 公共)

  • 重点: 表現規制、プライバシー、承認フロー
  • 重み高い KA: 06 / 15 / 16
  • 設定: 厳格運用。法務同席、承認ログ必須

スタートアップ(PMF 前)

  • 重点: Customer Sync の独立化、再構築 週次、N1 から始める
  • 重み高い KA: 06 / 07 / 09
  • 設定: 簡易運用。省略不可の 3 項目のみ厳守、他は最小化

テーラリングの記録

各 workspace で次を残す:

  • 採用パス(簡易運用 / 標準運用 / 厳格運用 / 部分カスタム)
  • 省略・縮約した調整可能項目と理由(文脈のどの軸に依拠したか)
  • 拡張した要素と理由
  • 次回見直し時期(規模変化・成熟度変化のトリガ)

これがないテーラリングは「忘れた」と区別がつかない。記録の有無自体が中核条件(責任設計)の一部である。

アンチパターン

  • テーラリング名目の中核条件省略: 「うちは小さいから」で Customer Sync を削る → CMO Marketing OS Playbook の構造的優位が消える
  • 省略の不文律化: 何を外したかを記録しない → 次サイクルで再現できない
  • 簡易運用のまま固定化: 規模が拡大してもテーラリングを更新しない
  • 厳格運用の過剰適用: 1 人事業に承認ログと法務監査を要求 → サイクルが止まり、結局回らないので「CMO Marketing OS Playbook は重い」と誤解される
  • テーラリングを「妥協」と読む: 妥協ではなく設計判断。判断したことを記録すれば妥協ではない

関連 skill / agent

  • /next --verbose — テーラリングの現状診断
  • /release — テーラリング再評価の触媒

今後の拡張論点

  • 簡易 / 標準 / 厳格運用の 3 段階で十分か — 業種別カスタムを増やすか
  • 22 章 成熟度モデルとの境界 — テーラリングは Level に応じて自動推奨されるべきか
  • 業種別ガイドの粒度 — §19.4 は 6 業種だが、もっと細分化が必要か