第 6 章 — 計測と改善サイクル
SEO は施策を打って終わりではなく、 計測 → 学習 → 改善 のサイクルを回す活動です。本章では、SEO の主要 KPI、ベースラインの取り方、改善サイクルの設計を扱います。
SEO の主要 KPI
| KPI | 内容 | 出典ツール |
|---|---|---|
| 検索順位 | 主要 KW の順位推移 | Search Console、Ahrefs、Semrush |
| 検索流入 | オーガニック検索からのセッション数 | Search Console、GA4 |
| CTR | 表示回数あたりのクリック率 | Search Console |
| CV 数・CV 率 | オーガニック流入経由の CV | GA4 |
| ブランド検索量 | 指名検索の推移 | Search Console、Google Trends |
| 被リンク数 | 外部からの参照 | Ahrefs、Semrush、Search Console |
すべての KPI を毎週見る必要はありません。 主要 KW 10〜30 個と、CV 数 を週次で追い、その他は月次で十分です。
ベースラインを取る
SEO 施策の効果は、ベースラインなしには測れません。施策実行前に、必ず次の数値を記録します。
| ベースライン項目 | 取り方 |
|---|---|
| 主要 KW の順位 | Search Console > パフォーマンス |
| 各 KW の CTR | Search Console > パフォーマンス(CTR タブ) |
| ランディングページ別 CV | GA4 > レポート > 集客 > ランディングページ |
| サイト全体のオーガニック流入 | GA4 > レポート > 集客 |
| ドメイン権威性 | Ahrefs DR / Semrush AS(参考値) |
ベースラインを取らずに施策を打つと、「順位が上がった」が「もともと上がる傾向だった」のか「施策の効果」なのか判断できません。
因果と相関を分ける
SEO の指標は、 因果と相関を混同しがち です。
| 観察 | 安易な解釈 | より正確な解釈 |
|---|---|---|
| 順位が上がった | 施策の効果 | 季節要因、競合の動き、アルゴリズム更新も可能性 |
| 流入が減った | 施策の悪影響 | コアアップデート、競合強化、検索行動の変化も可能性 |
| CTR が向上した | タイトル改善が効いた | 順位変動、検索結果上の AI Overview 出現も可能性 |
施策の効果を測るには、 実施群と非実施群 を分ける、または 施策前後で他要因が同じ期間 を比較する設計が必要です。SEO では完全な統制群を作るのは難しいため、複数の仮説を持って解釈します。
Search Console の使い方
Search Console は、Google 検索での表示回数・クリック・CTR・平均掲載順位を見るための 一次データ源 です。GA4 は流入後の行動と CV、Ahrefs や Semrush は競合・被リンクの補助データとして使い分けます。
パフォーマンスレポート
| タブ | 確認内容 |
|---|---|
| クエリ | どの検索語句で表示されたか、CTR、順位 |
| ページ | どのページが多く表示されたか |
| 国 | どの地域からの検索か |
| デバイス | モバイル vs PC の比率 |
| 検索の見え方 | 通常結果 vs リッチリザルト |
インデックスカバレッジ
「送信したが index されていない」ページの原因を調査します。よくある原因:
- noindex の誤適用
- robots.txt でブロック
- canonical で別 URL を指定している
- 重複コンテンツとして除外された
- クロールエラー(404、5xx)
URL 検査
個別 URL について、 Google から見える状態 を確認できます。重要ページは公開後に必ず実行します。
Core Web Vitals
実ユーザーデータでの LCP、INP、CLS を確認できます。Lighthouse のスコアとは別物で、こちらが評価対象です。
GA4 でオーガニック流入を分析する
GA4 では、 オーガニック流入経由の CV を測ります。
必須レポート
| レポート | 確認内容 |
|---|---|
| 集客 > トラフィック取得 | チャネル別の流入、CV |
| 集客 > ランディングページ | ページ別の流入、CV、CV 率 |
| エンゲージメント > ページとスクリーン | ページ別の閲覧、滞在時間 |
| イベント | コンバージョン関連イベント |
セグメント
GA4 の探索レポートで、 「オーガニック検索 × CV」のセグメント を作っておくと、SEO の事業貢献を追いやすくなります。
注意点
GA4 はサンプリングがかかることがあります。重要な意思決定では、 複数日・複数指標で確認 します。
改善サイクルの回し方
SEO の改善サイクルは、 四半期単位 で回すのが現実的です。
1. 計測(毎週)
- Search Console で主要 KW の順位推移
- GA4 で流入と CV
- 異常値があれば原因調査
2. 分析(月次)
- 順位上昇 KW / 下落 KW のグルーピング
- CTR の低い KW(タイトル改善候補)
- 流入があるが CV しないページ(LP 改善候補)
3. 仮説立案(四半期初)
- 次の四半期で何を改善するか
- 期待される効果と検証期間
4. 実行(四半期内)
- 既存記事の更新 5〜20 本
- 新規記事の作成
- 技術 SEO 改善
- 内部リンク再設計
5. 振り返り(四半期末)
- 仮説通りに動いたか
- 動かなかった原因
- 次の四半期への学習
順位下落への対応
順位が下がったとき、慌てて大幅変更しないことが重要です。
順位下落の主因
| 原因 | 兆候 | 対応 |
|---|---|---|
| アルゴリズム更新 | 多くの KW で同時下落 | 1〜2 週間様子見、Google 公式情報を確認 |
| 競合のコンテンツ強化 | 特定 KW で下落 | 競合の新コンテンツを分析、自社強化 |
| 自社の技術 SEO 劣化 | 特定ページのみ下落 | Search Console でクロール・index 確認 |
| 季節要因 | 毎年同時期に下落 | 一時的なものとして受容 |
| 検索意図の変化 | 検索クエリの意図が変わった | コンテンツの再設計 |
対応のチェックリスト
- Search Console でエラーが出ていないか
- noindex / canonical の誤適用がないか
- サーバー応答・表示速度に異常がないか
- 競合上位サイトの内容を確認
- Google 公式(Search Central、Twitter)でアップデート情報を確認
- 直近の自社変更(リダイレクト、URL 変更)と照合
SEO 改善の優先順位付け
施策の優先順位は、 インパクト × 容易性 で決めます。
インパクト評価
| 評価軸 | 内容 |
|---|---|
| 検索ボリューム | 月間検索数(影響範囲) |
| 現在順位 | 4〜10 位が改善余地大 |
| CV 率 | この KW での過去 CV 率 |
| 競合状況 | 上位サイトに勝てそうか |
容易性評価
| 評価軸 | 内容 |
|---|---|
| 工数 | 何時間で実行できるか |
| 必要スキル | 編集?技術?デザイン? |
| 依存関係 | 他チームの承認が必要か |
| リスク | 既存 SEO への悪影響可能性 |
最優先は 「インパクト大 × 容易性高」 の施策です。小さな改善でも、確実に積み上げれば四半期で大きな差になります。
報告のフォーマット
SEO の成果を経営層・関係者に報告するときは、 数字 + 解釈 + 次のアクション の 3 点セットにします。
## SEO 月次レポート — 2026 年 5 月
### 数字
- オーガニック流入: 前月比 +12%(X セッション → Y セッション)
- 主要 10 KW の平均順位: 8.3 → 6.7(上昇)
- CV 数: 前月比 +18%(A 件 → B 件)
### 解釈
- 4 月に更新した「○○」記事が順位 3 位まで上昇、流入を牽引
- 「△△」KW で AI Overview が出現、CTR が 4.2% → 2.8% に低下
- 技術 SEO 改善(LCP)後、モバイル流入が +20%
### 次のアクション
- AI Overview 出現 KW について、引用される側になる施策を検討
- 順位 4〜10 位の KW を 5 本リライト
- 新規記事 3 本(キーワードマップから抽出)
まとめ
第 6 章では、計測と改善サイクルを扱いました。最終章では、SEO を 組織として持続させるための体制・予算・外部委託 に進みます。