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第 5 章 — AI Overview と LLM 検索への対応

2024 年以降、検索のかたちは大きく変わりました。Google AI Overview(旧 SGE)、ChatGPT、Perplexity、Claude、Gemini といった AI が、検索クエリに対して回答を生成するようになりました。本章では、この変化に対応するための実務的な指針を整理します。

何が変わったのか

従来の検索は、 「クエリ → 検索結果 → サイト訪問」 という流れでした。AI Overview の登場後は、 「クエリ → AI による回答 → 必要なら引用元へ訪問」 が増えています。

観点 従来 AI Overview 時代
ユーザー行動 クリックして読む AI の回答で完結
サイト流入 上位ほど多い クリック率が低下傾向
評価対象 ページ全体 引用される個別の段落・データ
差別化要素 コンテンツの網羅性 一次情報・独自データ
ブランド露出 サイト訪問時のみ AI の引用・回答にブランド名が出るか

この変化を「SEO の終わり」と捉える人もいますが、 AI が引用するための情報源は依然として誰かが書いている ことに注意が必要です。引用される側になれば、AI 検索でも露出できます。

AI が「良い情報源」と判断するもの

ChatGPT、Perplexity、Claude などが回答を生成するとき、参照する情報源には傾向があります。

参照されやすい 参照されにくい
一次情報・独自データを持つサイト 他サイトの要約コンテンツ
著者・運営者が明確 匿名運営
構造化された情報(表・箇条書き) 長文の段落のみ
結論が明確 曖昧な表現の多用
最終更新日が新しい 数年前のまま放置
引用元が明示されている 出典なしの主張
ドメイン権威性が高い 新興・無名ドメイン

これらは 古典的な SEO で評価される条件と重なる ものの、特に「独自性」「構造化」「結論明確」の比重が大きくなっています。

AI Overview に採用されるための実装

ページ冒頭で 1 段落で答える

AI Overview は、検索クエリに対する「直接的な答え」を引用しがちです。ページ冒頭で 1〜2 文の答えを書きます。

[強い例]
SEO の本質は、検索意図に対して最も役に立つページを提供することです。
キーワード詰め込みや被リンク購入といった機械的な手法ではなく、
検索者が抱える問いに正面から答えるコンテンツ設計が求められます。

構造化された箇条書き・表

AI は、表や箇条書きを 構造化された情報 として認識しやすく、引用しやすくなります。

形式 AI による引用しやすさ
表(行 × 列)
番号付きリスト
箇条書き 中〜高
段落のみ

FAQ と構造化データ

FAQ 形式のコンテンツは、検索者の質問に直接答える構造を作りやすい形式です。必要に応じて FAQPage などの構造化データを実装すると、Google がページ内容を理解する補助になります。ただし、構造化データの実装だけで AI Overview やリッチリザルトへの表示が保証されるわけではありません。

<script type="application/ld+json">
{
  "@context": "https://schema.org",
  "@type": "FAQPage",
  "mainEntity": [{
    "@type": "Question",
    "name": "SEO と AEO の違いは何ですか?",
    "acceptedAnswer": {
      "@type": "Answer",
      "text": "SEO は検索結果での順位を最適化する活動で、AEO(Answer Engine Optimization)は AI による回答での引用を最適化する活動です。"
    }
  }]
}
</script>

一次情報・固有データを入れる

一般論ではなく、 自社固有の数字・事例 を入れます。一次情報は AI が「ソース価値がある」と判定する材料になります。

一次情報の例 効果
自社調査(n=数百以上) AI に引用元として参照される
顧客事例(具体名・数値) 信頼性のシグナル
実施した A/B テスト結果 独自性の証拠
業界別の利用率・成功率 統計的価値

冗長性を削る

LLM は短く構造化された情報を引用しやすい傾向があります。1 文を長くせず、 必要な情報を最短で提示 します。

AEO(Answer Engine Optimization)

AEO は、AI Overview や AI チャット(ChatGPT 等)で 回答として引用される ことを目的とした最適化です。SEO を完全に置き換えるものではなく、 SEO の発展形 と捉えます。

観点 SEO AEO
主目的 検索結果での上位表示 AI 回答での引用
評価対象 ページ全体 個別の段落・データ
重要な観点 関連性、信頼性、自然な外部評価 構造化、独自性、信頼性
計測 順位、CTR、流入 引用回数、ブランド検索
主な実装 コンテンツ + 技術 SEO コンテンツ + 構造化データ + ブランド

AEO の評価指標はまだ確立途上ですが、 「自社名 + 業界キーワード」で ChatGPT などに質問したときに自社が言及されるか を定期的にチェックすることで、定性的に追えます。

LLM 検索プラットフォーム別の傾向

プラットフォーム 引用元の特徴 対策の方向
Google AI Overview ドメイン権威性、Web 上位サイト 古典 SEO の延長
ChatGPT Search 一次情報、専門メディア 独自データ、専門特化
Perplexity 引用元を明示、新しい情報を好む 更新頻度、構造化
Claude 信頼性の高い情報源を選ぶ傾向 編集ガイドライン、出典明示
Gemini Google サービスとの連携重視 Search Console 整備、構造化データ

この表は公開情報と実務上の観察に基づく仮説であり、各プラットフォームの評価仕様を断定するものではありません。

すべてのプラットフォームで最適化することは現実的ではありません。 自社の見込み客が使っているプラットフォーム を特定し、そこに集中します。

ブランド検索の重要性が増す

AI 検索時代では、 ブランド名で検索される ことの価値が上がります。

理由 内容
AI がブランド名から情報を引きやすい ブランドが知られていれば AI も認識する
指名検索は CV 率が高い すでに認知している顧客の検索
競合と差別化される 一般名詞での競争を回避
PR・コンテンツ・SNS の総合価値 SEO 単体ではなく総合戦略

ブランド検索を増やすには、SEO の枠を超えて PR、コンテンツ、SNS、コミュニティ、登壇、書籍 などの活動が必要になります。

ゼロクリック検索への対応

AI Overview や「強調スニペット」によって、検索者がクリックせずに答えを得る ゼロクリック検索 が増えています。

対応戦略 内容
引用される側になる ゼロクリックでもブランド名は露出される
クリックを誘うタイトル設計 「○○ の方法」より「○○ の意外な落とし穴」
AI で答えきれない深い内容 AI Overview の続きを読みたくさせる
別接点を持つ メルマガ・SNS・コミュニティで再接触

「クリックされる」ことに固執せず、 検索結果上でブランドを認知してもらう ところまで目標に含めると、AI 時代の戦略が見えてきます。

計測方法

AI Overview / LLM 検索の影響は、従来のツールでは見えにくいことが多々あります。

指標 測り方
AI Overview 採用率 主要 KW で SERP を手動チェック、または専用ツール
ブランド検索量 Search Console の「クエリ」フィルター、Google Trends
流入経路 GA4 の Direct 流入増(AI 経由は Direct 扱いになりがち)
ChatGPT 引用 「[自社名] [業界]」で ChatGPT に質問し定性確認
Perplexity 引用 Perplexity Pro Analytics(ある場合)または手動チェック

定量計測は発展途上です。月次で定性チェックを行い、 「半年前と比べてブランド露出は増えているか」 を主観でも追います。

まとめ

第 5 章では、AI Overview と LLM 検索への対応を扱いました。次章では、SEO の 計測と改善サイクル に進みます。