第 3 章 — 技術 SEO
技術 SEO は、 検索エンジンがサイトを正しく読み・評価できる状態を整える 仕事です。コンテンツが優れていても、技術的に評価対象になっていなければ流入は生まれません。本章では、優先順位の高い技術 SEO 施策を、実装レベルまで踏み込んで整理します。
技術 SEO の 4 領域
技術 SEO は次の 4 領域に整理できます。
| 領域 | 関心事 | 影響範囲 |
|---|---|---|
| クロール / インデックス | Googlebot がサイトを正しく巡回し index しているか | 全体 |
| ページ体験 | 表示速度、レイアウト安定性、操作性 | 全ページ |
| 構造化データ | コンテンツの意味をマシン可読に伝えているか | 該当ページ |
| 内部リンク・サイト構造 | 関連ページが相互にリンクされ、重要度が伝わるか | 全体 |
クロールとインデックスの整え方
サイトマップ
XML サイトマップは、 重要ページを明示する ツールです。すべてのページを載せる必要はなく、 インデックスしてほしい canonical なページ だけを載せます。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<urlset xmlns="http://www.sitemaps.org/schemas/sitemap/0.9">
<url>
<loc>https://example.com/</loc>
<lastmod>2026-05-20</lastmod>
<changefreq>weekly</changefreq>
</url>
</urlset>
サイトマップは Google Search Console に登録します。登録後、 インデックスカバレッジレポート で「送信したが index されない」ページがあれば、原因を調査します。
robots.txt
robots.txt は、Googlebot に対する クロール対象の指示 です。意図せず重要ページを除外していないか、定期的に確認します。
User-agent: *
Disallow: /admin/
Disallow: /api/
Sitemap: https://example.com/sitemap.xml
| よくある誤設定 | 影響 |
|---|---|
| 全サイト Disallow | Googlebot がクロールできず、検索結果の情報が更新されにくくなる |
| 重要ディレクトリの Disallow | 該当領域の発見・再評価が妨げられる |
| CSS / JS の Disallow | レンダリング不能で評価が下がる |
canonical タグ
同じコンテンツが複数 URL で表示されるとき、 正規 URL を指定する のが canonical タグの役割です。
<link rel="canonical" href="https://example.com/page" />
| 重複が起きやすい場面 | 対処 |
|---|---|
| URL パラメータ違い(?utm_source=...) | パラメータなし URL を canonical に |
| HTTPS / HTTP 両方アクセス可能 | HTTPS に canonical 統一、HTTP は 301 |
| 末尾スラッシュの有無 | どちらか一方に canonical |
| 大文字小文字違い | 小文字に canonical |
noindex の正しい使い方
noindex は index させたくないページに使う タグです。誤適用すると、検索流入が消えます。
| noindex すべきページ | 理由 |
|---|---|
| 検索結果ページ | 重複コンテンツになりやすい |
| 内部ツール・管理画面 | 公開対象ではない |
| 開発・ステージング環境 | 本番外なので不要 |
| ありがとうページ・確認ページ | 単独で評価する価値がない |
逆に noindex してはいけないページ は、商品詳細・記事・カテゴリトップなど、流入を期待するすべてのページです。
ページ体験(Core Web Vitals)
2021 年以降、ページ体験は Google 検索の評価シグナルの一部として扱われています。Core Web Vitals で見る代表的な指標は 3 つです。
| 指標 | 内容 | 目標値 |
|---|---|---|
| LCP | Largest Contentful Paint — 最大要素の表示時間 | 2.5 秒以内 |
| INP | Interaction to Next Paint — 操作への反応速度 | 200ms 以内 |
| CLS | Cumulative Layout Shift — レイアウトの安定性 | 0.1 以下 |
LCP の改善
| 原因 | 改善策 |
|---|---|
| 画像が大きい | WebP / AVIF への変換、srcset、loading="lazy"(fold 下のみ) |
| サーバー応答が遅い | CDN、キャッシュ、静的生成 |
| レンダリングブロッキング | CSS / JS の最適化、critical CSS のインライン化 |
| フォントが遅い | font-display: swap、preload |
INP の改善
| 原因 | 改善策 |
|---|---|
| 重い JavaScript | コード分割、不要ライブラリの削除 |
| メインスレッドの長いタスク | Web Worker、タスク分割 |
| 大きな DOM | 仮想スクロール、不要要素の削除 |
CLS の改善
| 原因 | 改善策 |
|---|---|
| 画像のサイズ指定なし | width / height 属性の指定 |
| 広告枠が後から挿入 | 枠サイズの事前確保 |
| Web フォント FOIT | font-display: swap、フォント preload |
| 動的コンテンツの挿入 | min-height で領域確保 |
計測方法
| ツール | 用途 |
|---|---|
| PageSpeed Insights | 個別 URL のスコア、改善提案 |
| Lighthouse | 開発時の継続的なチェック |
| Search Console > Core Web Vitals | 実ユーザーデータでの推移 |
| Chrome DevTools > Performance | 個別ボトルネックの特定 |
実ユーザーデータ(Search Console)と Lighthouse のスコアは乖離することがあります。 実ユーザーデータが評価対象 なので、Lighthouse が良くても安心せず、Search Console を主指標にします。
構造化データ(Schema.org)
構造化データは、コンテンツの意味を マシン可読な形 で伝えるマークアップです。Google がページ内容を理解しやすくなり、対象タイプによってはリッチリザルト表示の eligible になります。ただし、構造化データの追加だけで表示や AI Overview への引用が保証されるわけではありません。
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Article",
"headline": "SEO ガイドブック",
"author": {
"@type": "Person",
"name": "CMO株式会社"
},
"datePublished": "2026-05-20"
}
</script>
重要な構造化データ
| 対象ページ | スキーマ | 主な用途 |
|---|---|---|
| 企業トップ | Organization | 運営組織の理解補助 |
| 記事 | Article / BlogPosting | 記事情報の理解補助、該当する検索機能への eligible 化 |
| 商品 | Product | 商品情報、価格、レビュー情報の理解補助 |
| FAQ | FAQPage | 該当する検索機能への eligible 化(表示対象や扱いは検索機能側の方針に依存) |
| HowTo | HowTo | 手順情報の理解補助 |
| パンくず | BreadcrumbList | ページ階層の理解補助 |
| イベント | Event | イベント情報の理解補助 |
| レシピ | Recipe | レシピ情報の理解補助 |
| 求人 | JobPosting | 求人情報の理解補助 |
実装後は Google リッチリザルトテスト でエラー・警告を確認します。エラーがあると対象機能に eligible になりませんが、エラーがない場合でも検索結果上の表示は保証されません。
内部リンクとサイト構造
サイト階層の原則
| 原則 | 内容 |
|---|---|
| 浅い階層 | 重要ページはトップから 3 クリック以内 |
| 意味的なグルーピング | 関連ページが同じディレクトリに配置 |
| パンくず必須 | 全ページに階層を示すパンくず |
| 孤立ページ排除 | 内部リンクが 0 のページは作らない |
内部リンクの貼り方
内部リンクは 「読者にとっての関連性」と「検索エンジンにとっての権威伝達」を両立 する必要があります。
| アンカーテキスト | 評価 |
|---|---|
| 「こちら」「詳細はこちら」 | 関連性が伝わらない(弱) |
| 「SEO の詳細はこちら」 | 部分的に伝わる(中) |
| 「SEO の基礎を解説した記事」 | 内容が伝わる(強) |
| キーワード詰め込みのみ | 不自然で評価対象外(×) |
内部リンクで重要度を伝える
被リンク(外部からのリンク)と同じく、 内部リンクの数と質 もページの重要度に影響します。
- トップページからリンクされている → 重要
- 多くのカテゴリページからリンクされている → 関連性が高い
- フッターからのみリンク → 重要度低
- リンクが 1 つもない → 検索評価対象になりにくい
主要 CV ページには、サイト内の関連ページから意図的にリンクを集めます。
技術 SEO チェックリスト
メタ情報
- title タグが各ページ固有・検索結果で伝わる長さ
- meta description が各ページ固有・内容を正確に要約している
- canonical タグが正しく設定
- OGP / Twitter Card が設定
- hreflang(多言語サイトの場合)
構造化データ
- Organization スキーマ(運営者情報)
- Article / BlogPosting(記事ページ)
- BreadcrumbList(パンくず)
- FAQ Schema(FAQ ページ)
- リッチリザルトテストでエラーなし
クロール / インデックス
- robots.txt が意図通り
- sitemap.xml が最新・Search Console 登録済み
- noindex / nofollow の誤適用がない
- 重複コンテンツに canonical 適用済み
- 404 / 410 が適切に返される
ページ体験
- LCP < 2.5 秒(モバイル)
- INP < 200ms
- CLS < 0.1
- モバイルフレンドリーテスト合格
- HTTPS 化、HTTP リダイレクト
内部構造
- パンくずナビゲーションあり
- アンカーテキストが具体的
- 孤立ページがない
- 重要ページがトップから 3 クリック以内
優先順位の付け方
技術 SEO の施策は数が多いため、 影響範囲 × 修正容易性 で優先順位を決めます。
| 優先度 | 例 |
|---|---|
| 最優先 | title / meta description、canonical、noindex 誤適用、Core Web Vitals |
| 高 | サイトマップ、構造化データ追加、内部リンク見直し |
| 中 | 画像最適化、フォント最適化、孤立ページ解消 |
| 低 | hreflang(多言語化が決まってから)、細かい alt 整備 |
立ち上げ期は 最優先のみを 100% やり切る ことに集中します。中・低を完璧にしても、最優先に穴があれば評価は伸びません。
まとめ
第 3 章では、技術 SEO を扱いました。次章では、コンテンツの中身に踏み込む コンテンツ最適化 に進みます。