第 2 章 — キーワード戦略
キーワード戦略は SEO の出発点です。 どのキーワードで誰を呼び込むか を決めずに技術 SEO やコンテンツ最適化に進むと、努力の方向がぶれます。本章では、検索意図、ファネル、難易度、ビジネス関連性の 4 軸でキーワードを選ぶ方法を整理します。
キーワードを 4 軸で評価する
すべてのキーワードを、次の 4 軸で評価します。
| 軸 | 問い | 弱い場合の判断 |
|---|---|---|
| 検索意図 | 情報系・比較系・取引系・指名系のどれか | 自社コンテンツとミスマッチなら捨てる |
| 難易度 | 上位サイトのドメイン強度・コンテンツ品質 | 自社ドメイン強度に対して無謀なら避ける |
| ビジネス関連性 | このキーワードで来た訪問者は CV するか | CV しない KW は順位を取っても無意味 |
| 検索ボリューム | 月間検索数、ロングテール含む分布 | ボリューム 0 は指名系以外は追わない |
4 軸のうち、 ビジネス関連性が最重要 です。検索ボリュームが大きく、難易度が低くても、CV につながらないキーワードは事業に貢献しません。
検索意図の 4 分類
検索クエリは、ユーザーの意図によって 4 種類に分類できます。
| 分類 | 別名 | 検索者の状態 | 例 |
|---|---|---|---|
| 情報系 | Informational, Know | 知りたい | 「SEO とは」「Core Web Vitals 改善方法」 |
| 比較系 | Commercial, Investigation | 検討中 | 「MA ツール 比較」「会計ソフト おすすめ」 |
| 取引系 | Transactional, Do | 行動寸前 | 「freee 料金」「Salesforce 申し込み」 |
| 指名系 | Navigational, Go | 特定のサイトへ行きたい | 「Amazon」「ヤフー ログイン」 |
検索意図の分類を間違えると、コンテンツが「ハマらない」状態になります。例えば、「MA ツール 比較」(比較系)に対して、MA ツールとは何かを説明する記事(情報系)を当てても、検索者は離脱します。
ファネル段階別キーワード設計
検索意図はファネル段階とも対応します。
| ファネル | KW タイプ | 例(B2B SaaS) | 主な目的 | 期待 CV |
|---|---|---|---|---|
| TOFU | 情報系 | 「リード獲得 課題」「MA ツール とは」 | 認知獲得・教育 | 資料 DL、メルマガ |
| MOFU | 比較系 | 「MA ツール 比較」「B2B SaaS 選び方」 | 検討段階での候補入り | 資料 DL、ウェビナー |
| BOFU | 取引系 | 「[製品名] 料金」「[製品名] vs [競合]」 | 申し込み直前 | 問い合わせ、申し込み |
| Retention | 活用系 | 「[製品名] 使い方」「[機能] エラー」 | 解約防止・LTV 拡大 | チュートリアル完了 |
ファネル段階ごとに 対応する CV 設計 が違うことに注意します。TOFU で問い合わせフォームに直行させようとすると、心理的に飛びすぎになります。
検索ボリュームとロングテール
検索ボリュームは「月間検索回数」で表されますが、 ロングテールの分布 を理解しないと判断を誤ります。
- ビッグワード: 月 10,000 検索以上。競争が激しく、上位を取りにくい
- ミドルワード: 月 1,000〜10,000 検索。事業フィット次第で狙う価値あり
- ロングテール: 月 1〜1,000 検索。1 つあたりは小さいが、合計で大きな流入源
| 戦略 | 向いている状況 |
|---|---|
| ビッグワード狙い | ドメイン強度が十分、専属チーム、長期戦できる |
| ミドルワード狙い | 中堅サイト、特定領域での専門性で勝負 |
| ロングテール狙い | 立ち上げ期、専門性が高くニッチで深い |
立ち上げ期のサイトがビッグワードに正面から挑むと、半年経っても順位がつかず予算が尽きます。ロングテールで実績を作り、ドメイン強度を上げてからミドル・ビッグへ広げるのが定石です。
競合のドメイン強度を見る
キーワード難易度は、 上位 10 サイトのドメイン強度 で測ります。これは Ahrefs、Semrush、Moz などのツールで確認できます。
| 上位サイトの傾向 | 自社が戦えるか |
|---|---|
| 大手メディア・大手企業ばかり | 正面対決は厳しい。別軸(地域・業種・職種)で攻める |
| 専門メディア・スタートアップ混在 | 専門性で差別化できれば戦える |
| 個人ブログ・中小サイト | 自社ドメインがそこそこあれば狙える |
| 空きが多い、内容が薄い | 大きなチャンス。すぐ着手 |
「狙うキーワード」を決めるときは、 そのキーワードの SERP(検索結果ページ)を実際に開いて、上位 10 サイトを見る 習慣をつけます。ツールの数値だけでは肌感覚は掴めません。
指名検索の重要性
指名検索(自社名・自社製品名での検索)は、SEO の中で最も重要なカテゴリです。
| 観点 | なぜ重要か |
|---|---|
| CV 率が高い | すでにブランドを知っている人が検索している |
| 競合防衛 | 競合が自社名で広告を出すケースに備える |
| ブランド評価の指標 | 指名検索量はブランド認知の代理指標 |
| AI Overview への影響 | 自社名検索での Wikipedia 風サマリーが ChatGPT 等にも影響 |
指名検索で、自社サイトより他社の批判記事・比較記事が上位に来ているケースは少なくありません。これを放置すると、検討段階の見込み客が他社経由で離脱します。
指名検索対策の優先順位は 最高 です。技術 SEO や被リンクより、まず指名検索結果を整えます。
キーワード選定のアンチパターン
| アンチパターン | 起きやすい状況 | 結果 |
|---|---|---|
| 「やりたい KW」と「取れる KW」の混同 | 経営層が決めたキーワードを盲信 | 半年経っても順位がつかない |
| 検索意図無視 | 取引系 KW に情報記事を当てる | CTR は出るが CV しない |
| ロングテール過剰 | ロングテールばかり狙う | ドメイン全体の権威性が育たない |
| 指名系放置 | 自社名で他社記事が上位 | 検討段階の見込み客が離脱 |
| ボリューム偏重 | 検索ボリュームだけで決める | ビジネス関連性が低い流入が増える |
| 競合と同じ KW を取り合う | 競合分析だけで決める | 差別化されないコンテンツになる |
キーワードマップを作る
選定したキーワードは、 キーワードマップ として一元管理します。スプレッドシートで十分です。
KW | 検索意図 | ファネル | 月間Vol | 難易度 | 担当 LP | 現在順位 | 目標順位 | 着手期
このマップを四半期ごとに更新し、 着手していない / 着手したが順位がついていない / 順位がついたが CV しない の 3 段階で進捗を管理します。
キーワード選定の実行手順
実務での選定手順は次のとおりです。
- 自社の主要 CV ポイントから、 CV につながる検索意図 を 10〜30 個書き出す
- それぞれの意図に対応する検索クエリを 5〜10 個ずつ展開する
- Ahrefs / Semrush で検索ボリュームと難易度を取得する
- SERP を開いて、上位 10 サイトの内容を目視確認する
- 4 軸(意図・難易度・ビジネス関連性・ボリューム)で優先度を 3 段階に分類する
- 優先度高 5〜10 個から着手する
最初に多くの KW を出すことを恐れる必要はありません。1,000 個出して 50 個に絞る、というアプローチも実用的です。
まとめ
第 2 章では、キーワード戦略を扱いました。次章では、キーワードを定めたあとに必要な 技術 SEO に進みます。