職務経歴書とポートフォリオ
マーケターの職務経歴書は、 「実行した施策のリスト」ではなく「意思決定の履歴」 として書く。施策名だけでは、応募者の判断品質が伝わらない。
書き方の 4 原則
| 原則 | 意味 |
|---|---|
| 担当ではなく所有を示す | 「広告運用を担当」ではなく「予算 1.2 億の広告ポートフォリオを設計・運用」 |
| 数字は前提込みで書く | 「CVR を 2 倍に」ではなく「予算規模 X 円、競合状況 Y の中で CVR を 2 倍に」 |
| 失敗と学習も書く | 成功だけだと判断の質が見えない。中止判断・撤退判断は財産 |
| 意思決定の単位で章立て | 役割期間ごとに「状況/決めたこと/根拠/結果/学び」を書く |
章立てテンプレート
各職歴の中身は次の 5 ブロックで書く。
## [企業名] / [役割] / [期間]
### 状況
- 事業フェーズ(PMF 前 / 拡張期 / 成熟)
- マーケ組織の規模・成熟度
- 主な制約(予算・人員・体制)
### 決めたこと
- 担当領域での主要な意思決定 3〜5 個
- 「やったこと」ではなく「やらないと決めたこと」も含める
### 根拠
- なぜその意思決定をしたのか
- 参照したデータ、議論、外部知見
### 結果
- 数値(前提込みで)
- 数値以外の結果(組織、ブランド、文化)
### 学び
- 次に同じ局面でどう動くか
- 自分の判断のクセ、失敗パターン
数字の書き方の落とし穴
| よくある書き方 | 問題 | 推奨 |
|---|---|---|
| 売上を 2 倍に | 前提が見えない | 予算 X / 期間 Y の制約下で売上を 2 倍に |
| 業界最大規模のキャンペーン | 「業界最大」の定義が曖昧 | 予算 X 億円規模、リーチ Y 千万人 |
| マーケティングチーム全体を統括 | 関わり方が不明 | 6 名のチームを率い、四半期予算 X 円の配分判断を所有 |
| 数々の成功事例 | 一件ずつの粒度が不明 | 直近 3 年で主要成果は A / B / C の 3 件 |
ポートフォリオの作り方
書類で伝えきれない部分を補うのがポートフォリオである。マーケターのポートフォリオは「成果物の見せ場」ではなく「思考過程の証拠」として作る。
含めるもの
- 主要プロジェクトの ブリーフィング → 設計 → 結果 → 振り返り の流れ
- 自分が書いた戦略ドキュメント・分析資料の抜粋(守秘義務に配慮)
- 失敗事例とそこからの学び(評価が分かれる証拠なので、面接で深く話せる)
- 自分の言葉で書いた業界観・市場観(ブログ・noteなどでも可)
含めなくていいもの
- きれいに整えただけのキャンペーン画像
- 数字のスクリーンショットだけ
- 役割が曖昧な共同プロジェクトの羅列
守秘義務との折り合い
具体名・具体数字を出せない場合は、 桁感とレンジ で表現する。
| 出せない情報 | 代替表現 |
|---|---|
| 売上額 | 数十億円規模 / 数百億円規模 |
| 顧客数 | 数千社 / 数万人規模 |
| 予算 | 月数千万円 / 年数億円 |
| 競合名 | 国内トップ 3 のうち 1 社 |
ぼかしながらも、「自分の判断スコープがどれくらいだったか」は明確に伝える。
レビューを受ける
職務経歴書は、自分だけで書ききらない。 3 名以上の他者レビュー を必ず通す。
| レビュアー | 見てもらう観点 |
|---|---|
| 同職種の先輩 | 業界用語の妥当性、数字の解釈 |
| 別職種の同僚 | 専門外の人にも伝わるか |
| 採用側の経験者 | 採用判断の視点で見落としはないか |