CMO Guidebook
デマンドジェネレーション キャリアガイド
BtoB のパイプライン構築を主領域とするマーケターの職務・年収・キャリアパスを公開データから体系化する
デマンドジェネレーション(デマジェン)職の職務範囲、業界構造、必要スキル(4 層モデル)、平均年収レンジ(複数公開ソースのクロスチェック)、キャリアパス、転職・職種転換、学習リソースまで、BtoB のパイプライン構築を主領域とするマーケターの長期キャリアを 7 章 + はじめにでまとめました。外資 SaaS と内資 SaaS の年収差、営業 / Inside Sales / RevOps との境界、ABM / フィールドマーケ / Marketing Ops との分岐まで整理。年収レンジは Build+ / WACUL / For Marketer / 求人ボックス / OpenWork / ビズリーチ / 外資転職ドットコム等の 2024〜2025 年データに基づき、出典 URL を本文に明記しています。
この資料の対象
- BtoB マーケ / デマンドジェネレーションを担当している実務マーケター
- 営業・Inside Sales・PMM からデマンド職への転換を検討する人
- インハウス BtoB マーケ組織の責任者・採用担当
- 外資 SaaS / 内資 SaaS のマーケ採用・等級設計を担う経営層
目次
- 00はじめに
- 01第 1 章: デマンドジェネレーション職の職務範囲
- 02第 2 章: 業界構造と職種マップ
- 03第 3 章: 必要なスキル
- 04第 4 章: 平均年収と給与レンジ
- 05第 5 章: キャリアパス
- 06第 6 章: 転職・職種転換
- 07第 7 章: 学習リソースと資格
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はじめに — このガイドブックの読み方
デマンドジェネレーション(デマジェン / デマジェネ)は、BtoB マーケティングの中で「商談・売上に直結するパイプラインを設計・運用する」職能です。リードジェネレーション・リードナーチャリング・リードクオリフィケーションを統合的に設計し、MA(マーケティングオートメーション)と SFA・CRM を連携させて MQL から SQL への変換を加速させる、 マーケティングと営業を接続する実装職 でもあります。職種名は「BtoB マーケター」「デマンドジェネレーション担当」「パイプラインマーケター」「フィールドマーケティング」「ABM 担当」「リードジェネレーションマネージャー」などに分散し、年収レンジ・キャリアパスは外から見えにくい職能の 1 つです。
本ガイドは、デマンドジェネレーションを主領域とするマーケターの 職務範囲・必要スキル・年収・キャリアパス を、公開データの引用とともに体系化した、職種別キャリアガイドです。
CMO マーケターキャリアガイドが「マーケターという職能の獲得・運用・更新」をマーケター全般で扱うのに対し、本書は BtoB のパイプライン構築を主領域とするキャリア に絞って具体化します。
本書の特徴
- 公開データに基づく年収レンジ — doda・For Marketer・OpenWork・ビズリーチ・マイナビ転職・Build+・gaishitenshoku.com の 2024〜2025 年データを複数クロスチェックして提示します
- 役割タイプ別の整理 — デマンドジェネレーション担当 / フィールドマーケティング / ABM 担当 / マーケティングオペレーション / パイプラインマネージャー / Head of Demand などの役割を職務範囲で区別します
- 外資 SaaS と内資 SaaS の年収差 — Robert Walters サーベイ等の二次情報を引用しながら、固定給 + ボーナス構造を含めて比較します
- 営業 / Inside Sales / RevOps との境界整理 — 「デマンド」と「IS」「RevOps」がどこで重なり、どこで分かれるかを章ごとに明示します
想定読者
| 役割 | 本書から得られるもの |
|---|---|
| デマンドジェネレーションを担当している実務マーケター | 次のステージへの足場、年収交渉の根拠データ |
| BtoB マーケティングへの職種転換を検討する人 | 異職種(営業・IS・コンサル)からの参入経路、未経験 → 実務年数別の到達目安 |
| インハウス BtoB マーケ組織の責任者 | 採用要件設計・等級設計の業界相場 |
| 経営層・CMO | デマンド組織の投資判断、外部委託 vs 内製の評価軸 |
| 営業・IS・CS | パイプライン隣接職からのキャリア拡張選択肢 |
本書の構成
本書は次の 7 章で構成されています。職務理解(1〜2 章)、スキルと年収(3〜4 章)、キャリア設計(5〜6 章)、学習(7 章)の 4 層構造で読み解けます。
第 1 章: デマンドジェネレーション職の職務範囲 — 何をする仕事か
第 2 章: 業界構造と職種マップ — どこで働く選択肢があるか
第 3 章: 必要なスキル — 4 層モデルで棚卸しする
第 4 章: 平均年収と給与レンジ — 公開データのクロスチェック
第 5 章: キャリアパス — ジュニアから CMO・独立まで
第 6 章: 転職・職種転換 — 評価される経歴と選び方
第 7 章: 学習リソースと資格 — 1〜3 年で着地するための投資
各章は独立して読めますが、第 1〜2 章で職務範囲と業界構造を把握し、第 3 章でスキルを棚卸ししてから第 4 章以降のキャリア・年収を読むと、自分の現在地と次の選択肢が立体的に見える構成にしています。
「デマンド職」と「営業 / IS / RevOps」の違い
本書は マーケティング起点でパイプラインを設計・運用する職能 を扱います。営業(Field Sales / AE)、Inside Sales、Revenue Operations は隣接職として登場しますが、本書のスコープは「商談化前のパイプライン創出と、SQL 引き渡し後の効率最適化」までです。
| 軸 | デマンド職(本書) | Inside Sales(IS) | RevOps |
|---|---|---|---|
| 主たる成果物 | MQL / SQL パイプライン、ナーチャリングコンテンツ、ABM プログラム | アポイント、商談化、IS 経由 SQL | 営業・マーケ・CS 横断のプロセス最適化、データ整備 |
| 評価される指標 | パイプライン額、SQL 数、MQL→SQL 変換率、CAC | 商談化率、IS 経由パイプライン額 | LTV/CAC、収益効率、データ網羅率 |
| 主たるツール | MA(HubSpot / Marketo / Pardot)、ABM、SFA 連携 | SFA、IS ダイヤラー、シーケンサ | SFA、BI、データ基盤、計測網 |
| 顧客との距離 | 1:多 + 1:1(ABM)、間接 | 1:1、電話・メール | 直接の顧客接点なし、組織横断 |
デマンド職は MA と SFA の間に立つ ポジションで、IS と並走する局面が多い。RevOps は組織の上流に立って横断最適化を担うため、シニア段階で重なるが、本書では別職能として扱う。
出典・データ更新方針
- 年収・市場規模データは記事末に出典 URL と取得年月を明記します
- 数値はレンジで提示し、単一の中央値に依存しません
- データの陳腐化を防ぐため、毎年改訂を予定しています
- AI Outbound / Predictive ABM など 2025 年以降の領域は仕様変化が速いため、章末に「最終確認日」を明示します
第 1 章 — デマンドジェネレーション職の職務範囲
デマンドジェネレーション職は「リード(見込み顧客)を集める人」と狭く理解されがちだが、実際の職務範囲はもっと広い。検索流入・広告・ウェビナー・展示会・コンテンツ・ABM の総合設計、MA × SFA の連携、営業(Field Sales)・IS との SLA 設計、ファネル全体の数値責任までを含む マーケと営業を接続する実装職能 である。本章では、デマンド職の実態を 6 つの主要業務に分けて整理する。
6 つの主要業務
| 業務 | 内容 | 関連職種との接続 |
|---|---|---|
| リードジェネレーション | 検索・広告・コンテンツ・SNS・ウェビナー・展示会・ホワイトペーパー DL からのリード獲得設計 | コンテンツマーケ、広告運用、SEO |
| リードナーチャリング | メール、シナリオ、スコアリングによる継続的な接点維持と関心度向上 | MA オペレーター、コンテンツマーケ |
| リードクオリフィケーション | MQL / SQL の基準設計、スコアリング、ハンドオフルール | Inside Sales、営業企画 |
| ABM(アカウントベースドマーケティング) | ターゲットアカウント選定、アカウント別コンテンツ、営業と一体での攻略 | 営業(特に Enterprise / Strategic AE)、IS |
| 営業連携 / Sales Enablement | MQL / SQL の SLA、SDR への引き渡し、商談コンテンツ提供 | Inside Sales、営業企画 |
| 計測・MA / SFA 連携 | MQL → SQL → 商談 → 受注の全ファネル可視化、MA × SFA データ整合 | マーケティングオペレーション、RevOps |
「デマンド担当」と一言で言われる職務には、これら 6 業務の どこをどの深さでカバーするか という幅がある。求人票を読むときも、自分の経歴を語るときも、6 業務のうちどれが主戦場かを明示すると伝わりやすい。
1 週間の典型的なタスク(実務担当の例)
SaaS 事業会社のインハウスデマンド担当(経験 3〜5 年想定)の典型的な 1 週間。
| 曜日 | 主なタスク |
|---|---|
| 月 | 週次パイプライン確認、MQL / SQL 推移の異常検知、IS / Field Sales とのスタンドアップ |
| 火 | ナーチャリングシナリオの効果検証、メール A/B テスト、コンテンツチーム連携 |
| 水 | ウェビナー / 展示会の企画 + 直前運営、ABM ターゲットアカウントのレビュー |
| 木 | MA(HubSpot / Marketo)スコアリング調整、SFA 側のデータ整合チェック |
| 金 | 月次の戦略会議資料作成、CAC / パイプライン額の検証、次月のキャンペーン設計 |
外資 SaaS の場合は、APAC / グローバル本社との同期会議、グローバルプログラムのローカライズ判断、英語でのレポーティングが時間配分に加わる。
役割タイプの細分化
「デマンドジェネレーション」と一括りにされる職能は、組織が成熟するほど次の役割に細分化される傾向がある。
| 役割 | 主な責任 |
|---|---|
| Demand Generation Manager | 全チャネル横断でのパイプライン創出責任、年間プラン設計 |
| Field Marketing Manager | 地域・特定セグメント向けの展示会・イベント・ローカルキャンペーン責任 |
| ABM Manager | 戦略アカウント向けのカスタマイズプログラム、営業との一体運用 |
| Marketing Operations / RevOps | MA・SFA・データ基盤の設計運用、レポーティング自動化 |
| Lifecycle Marketing | 既存顧客向けナーチャリング、クロスセル / アップセル |
| Webinar / Content Marketing | ウェビナー企画運営、ホワイトペーパー制作、検索流入向けコンテンツ |
外資 SaaS(Salesforce、HubSpot、ServiceNow、Adobe、Microsoft など)では、これらが独立した職位として整備されている。内資 SaaS や中小 BtoB では、1 人の担当が複数役割を兼務するのが普通である。
似た職種との違い
デマンド職と混同されやすい職種を整理する。境界は組織によって動くが、典型的な責任の重心は以下のとおり。
| 職種 | 主な責任の重心 | デマンドとの関係 |
|---|---|---|
| Inside Sales(SDR / BDR) | 商談化のためのアウトバウンド・インバウンド架電 | デマンドが供給する MQL を SQL に変換する直接の隣人 |
| 営業(Field Sales / AE) | 商談から受注までのクロージング | SQL を受け取って商談を進行、ABM では一体運用 |
| プロダクトマーケター(PMM) | ICP・ポジショニング・メッセージング・ローンチ | デマンドが「使う」素材を作る上流 |
| コンテンツマーケター | テーマ設計・編集・配信 | デマンドが活用するアセットを作る隣接職 |
| Marketing Operations / RevOps | MA・SFA・データ基盤、計測自動化 | デマンドが「使うインフラ」を整える、シニア段階で統合 |
| カスタマーマーケティング | 既存顧客のリテンション・アップセル | デマンド職の延長線として担当する組織もある |
採用面接や経歴書では、「私はデマンド担当です」と言い切るより、 6 業務のどこをどう経験したか、どの役割タイプに近いか を語るほうが、組織側の評価が安定する。
国内のデマンド職の現状
日本企業のマーケティングは「リサーチ」と「企業ブランド」では欧米と遜色がないものの、 売上に直接貢献する案件創出の領域(デマンドジェネレーション)が根付いていない と指摘されてきた(MarketOne 等)。一方で SaaS の拡大と MA ツール普及により、2020 年以降は国内 SaaS / IT 企業を中心にデマンド職の求人が増加。さくらインターネット、KDDI、AWS、応用技術、コーナーなどの公開求人で「デマンドジェネレーション」を職位名として掲げる例が見られる。
出典
- MarketOne「BtoB マーケティングで重要なデマンドジェネレーションの基本的な考え方」(最終確認 2026-05-25): https://japan.marketone.com/articles/demand-generation
- Magic Moment「BtoB マーケティングに必須なデマンドジェネレーションとは」(最終確認 2026-05-25): https://magicmoment.jp/blog/demand-generation
- Build+「BtoB マーケティング職種ガイド」(最終確認 2026-05-25): https://buildplus.io/jp/blog/marketing-btob-positions-guide
- さくらインターネット「デマンドジェネレーション(BtoB マーケティング)」採用情報(最終確認 2026-05-25): https://www.sakura.ad.jp/recruit/midcareer/589/
第 2 章 — 業界構造と職種マップ
デマンドジェネレーション職の年収・キャリアパスを判断するには、「どこで働く選択肢があるか」を先に整理する必要がある。同じ「BtoB マーケター」「デマンド担当」でも、勤め先のセグメントによって責任範囲・年収レンジ・成長環境は大きく異なる。
市場規模
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| BtoB マーケティング支援市場 | 2026 年度予測 210 億円(BtoC 152 億円を上回る) | ITR 調査(プロフクマガジン経由、最終確認 2026-05-25) |
| BtoB デジタルマーケティング市場(IT サービス + ビジネスサービス) | 2020 年 4,300 億円 → 2025 年 6,100 億円超見込み | プロフクマガジン「BtoB マーケティングの市場規模・推移と今後のトレンドまとめ」(最終確認 2026-05-25) |
| BtoB SaaS 国内市場 | 拡大基調、SaaS 企業数・上場社数ともに増加 | SE Design・geekly 等の SaaS 業界調査(2025〜2026) |
市場全体は拡大基調にあり、特に SaaS / IT / FinTech / 製造業 DX 領域での BtoB マーケ求人は短期的に縮小しない見通しが多い。一方で「デマンドジェネレーション」を職位名として明示する企業はまだ限定的で、「BtoB マーケティング担当」「マーケティングマネージャー」の中に内包されるケースが多い。
業界セグメント
デマンド職が働く場所は、大きく 5 つに分類できる。
| セグメント | 代表企業 | 仕事の特徴 | 年収レンジの傾向 |
|---|---|---|---|
| 外資 SaaS / 外資 IT | Salesforce、HubSpot、Adobe、ServiceNow、Microsoft、AWS | 整備された MA / SFA、グローバルプログラムのローカライズ、英語業務、固定給 + ボーナス | スペシャリストで上位、マネージャーで高位 |
| 内資 SaaS(上場〜大手) | freee、ラクス、マネーフォワード、Sansan 等 | プロダクト連動の MQL/SQL 設計、ストックオプションあり | 上場前後で上位、ミドル〜上位レンジ |
| 内資 SaaS / IT(成長中) | 各種 SaaS スタートアップ、SI 系 SaaS | 0→1 のデマンド組織立ち上げ、属人性高い | 役職・成果で上振れあり、ストックオプション付き |
| エンタープライズ事業会社 | 製造業、金融、通信、商社、エネルギー、自動車 | 既存ブランドへの BtoB マーケ機能の組み込み、年功要素あり | 大手相応、上限は職位次第 |
| BtoB マーケ支援会社・代理店 | シンフォニーマーケティング、シャノン、Innovation、ferret One、CloudFit 等 | 複数案件、MA 導入支援、業種横断の経験蓄積 | 担当〜マネージャーで分布、独立しやすい |
外資 SaaS と内資 SaaS では、年収レンジ・評価軸・求められる英語力が大きく違う。詳細は第 4 章で扱う。
雇用形態と所属の選び方
| 形態 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|
| 外資 SaaS(インハウス) | 整備されたグローバルプログラムで深く回したい、英語で動ける | グローバル本社の意思決定に左右される、ローカライズ範囲が限定的なことも |
| 内資 SaaS(インハウス) | 0→1 / 1→10 でデマンド組織を立ち上げたい | プロセスが整っていない場面に耐性が必要 |
| エンタープライズ事業会社 | 大規模組織の中で BtoB マーケ機能を立ち上げ・運用したい | 営業との力学・社内政治に時間を取られる |
| BtoB マーケ支援会社・代理店 | 短期間で多業種・多社の経験を積みたい | クライアント業務に偏り、自社プロダクトとの一体感が薄い |
| フリーランス・独立 | 案件選択と価格設定の自由度がほしい | 営業・契約・税務を自分で持つ必要がある |
| 副業 + 本業 | リスクを抑えて独立可能性を試したい | 本業との利益相反、時間管理 |
役職カテゴリ
組織側から見た典型的な等級・役職カテゴリは以下のとおり。職位名は会社ごとに異なるため、 責任スコープ で読み替える。
| 等級 | 典型的な職位名 | 責任スコープ |
|---|---|---|
| ジュニア | Marketing Coordinator、Jr. デマンド担当、マーケアシスタント | 個別タスク(ウェビナー運営、メール配信、リードリスト整備、レポート補助) |
| 担当 | デマンドジェネレーション担当、BtoB マーケ担当 | 1 セグメント or 1 チャネルの運用判断 |
| シニア担当 | Sr. Demand Gen、フィールドマーケ Lead、ABM 担当 | 複数チャネル横断、ABM プログラム設計、IS との SLA 設計 |
| マネージャー | Demand Gen Manager、Field Marketing Manager | チーム編成、年間予算配分、パイプライン責任 |
| ディレクター | Director of Demand Gen、BtoB マーケ Director | 複数地域 or 複数プロダクトラインの統括、CMO 直下 |
| 部長・責任者 | Head of Demand、Head of BtoB Marketing、VP Marketing、CMO | 全社の BtoB マーケ戦略、経営会議メンバー |
責任スコープと年収レンジは第 4 章で対応づけて示す。
業種別のデマンド職の濃淡
| 業種 | デマンド職の濃さ | コメント |
|---|---|---|
| 外資 SaaS / 外資 IT | 非常に濃い | デマンド・ABM・Field Marketing が独立職として整備 |
| 内資 SaaS | 濃い | 「BtoB マーケター」の中核業務として組み込まれている |
| エンタープライズ製造業 / DX | 中 | 既存営業組織との接続に課題、立ち上げフェーズが多い |
| 金融・保険・FinTech | 中〜濃 | 規制業種の制約あり、ABM 適性が高い |
| 商社 / 専門商社 | 薄〜中 | デマンド職としては未確立、営業企画と兼務 |
| 通信キャリア・ISP | 中 | KDDI 等の公開求人あり、エンタープライズ顧客向け |
外資 SaaS と内資 SaaS でキャリアを積むのが最短ルートとして広く認識されているが、エンタープライズ製造業の DX 推進部門・FinTech も近年デマンド職の採用を増やしている。
出典
- プロフクマガジン「BtoB マーケティングの市場規模・推移と今後のトレンドまとめ」(最終確認 2026-05-25): https://profuku.com/magazine/article/54/
- 外資転職ドットコム「外資 IT 年収ランキング【2026 年版】TOP50 社の職種別年収を徹底比較」(最終確認 2026-05-25): https://gaishitenshoku.com/gaishitenshoku_10myen/
- SE Design「国内 SaaS 企業一覧|売上高 & 年収ランキング TOP10」(2025-09 取得): https://www.sedesign.co.jp/marketing-blog/saas-company-list
- ビズリーチ「デマンドジェネレーション」求人検索(最終確認 2026-05-25): https://www.bizreach.jp/job/j/KWA1002507/
- さくらインターネット「デマンドジェネレーション(BtoB マーケティング)」採用情報(最終確認 2026-05-25): https://www.sakura.ad.jp/recruit/midcareer/589/
第 3 章 — デマンドジェネレーション職に必要なスキル
デマンドジェネレーションは、短期間で陳腐化する戦術知識(特定 MA のシナリオ作成、特定広告媒体の運用)と、10 年単位で有効な思考の型(顧客理解、ファネル設計、営業連携)が同居する職能である。CMO マーケターキャリアガイド第 2 章の 4 層モデルを当てはめて、スキルを棚卸しする。
4 層モデルで見るデマンドジェネレーションスキル
| 層 | 内容 | デマンド職での具体例 | 陳腐化のしやすさ |
|---|---|---|---|
| L1 思考の型 | 顧客理解・仮説・検証・学習サイクル | ICP(理想顧客像)言語化、購買プロセス設計、SQL 化までの仮説検証 | 低(10 年以上有効) |
| L2 領域知識 | BtoB ファネル、MA × SFA、営業連携、ABM | MQL / SQL 定義、リード スコアリング設計、IS / 営業との SLA | 中(3〜5 年で更新) |
| L3 戦術知識 | チャネル別の打ち手、ナーチャリング設計、ABM プログラム | ウェビナー設計、メールシナリオ、展示会 ROI 最大化、Predictive ABM | 高(1〜3 年で更新) |
| L4 ツール操作 | MA / SFA / ABM / 分析ツール、ダッシュボード | HubSpot、Marketo、Pardot、Salesforce、6sense、Demandbase、GA4、Looker Studio | 非常に高(半年で変わる) |
学習投資の優先順位は L1 > L2 > L3 > L4。L4 を中心に経験を積むと、ツールの世代交代でリセットされる。L1〜L2 を持つ人は、新しい MA や ABM プラットフォームが出ても適応できる。
スキル棚卸しチェックリスト
経験 2〜5 年のデマンド担当を想定した自己評価項目。「説明できる/実行できる/教えられる」の 3 段階で評価する。
L1 思考の型
- 自社の ICP(理想顧客像)を、業界・規模・職位・購買トリガーで構造的に説明できるか
- BtoB 購買プロセス(認知 → 興味 → 比較検討 → 購入 → 利用)を、自社プロダクトに即して設計できるか
- 新規施策の効果検証を、条件 × 期間 × 撤退条件で設計できるか
- 過去 6 か月で外れた仮説を 3 つ以上挙げ、外れた理由まで言語化できるか
- 上流の事業 KPI(売上、ARR、CAC、LTV)とマーケ KPI(MQL、SQL、パイプライン額)の関係を説明できるか
L2 領域知識
- MQL と SQL の境界を、自社の数字(行動 + 属性)で具体的に定義できるか
- リードスコアリングを「行動スコア + 属性スコア」で設計し、月次でチューニングできるか
- IS / 営業との SLA(リード受け渡しのルール、応答時間、フォロー必須項目)を設計できるか
- ABM の対象アカウント選定基準(戦略性 / 受注確度 / 競合状況)を組み立てられるか
- BtoB の購買は複数決裁者である前提を、コンテンツ・配信設計に反映できるか
- CAC / LTV / ペイバック期間を、自社で測れる範囲で説明できるか
L3 戦術知識
- ウェビナーの企画 → 集客 → 当日運営 → 録画活用 → MQL 化までの導線を、独力で設計できるか
- 展示会 / 大型イベント前後の動線(事前接点 → 当日 → 事後ナーチャリング)を設計できるか
- ABM プログラムを、ターゲット 50 社〜200 社規模で立ち上げられるか
- BtoB 広告(LinkedIn、Meta、検索広告、Display)を、CPL ではなくパイプライン額で評価できるか
- メールシナリオを、Drip 型 / Trigger 型 / Lifecycle 型で使い分けられるか
- AI Outbound / Predictive ABM など 2025 年以降の動向を、現時点の打ち手まで説明できるか
L4 ツール操作
- HubSpot / Marketo / Pardot のいずれかで、ワークフロー設計とスコアリングを独力で構築できるか
- Salesforce / HubSpot CRM で、リードオブジェクト・コンタクトオブジェクト・アカウントオブジェクトの設計に意見できるか
- MA × SFA のフィールドマッピング・データ同期設計を、運用責任者として持てるか
- GA4 / Adobe Analytics で BtoB 流入の質を分析できるか
- Looker Studio / Tableau 等で、パイプライン / MQL / SQL ダッシュボードを構築できるか
- SQL(または Python / Sheets 関数)で、大量データから示唆を抽出できるか
ステージ別の到達目安
経験年数とスキル習得の標準的なスケジュール。
| 経験 | 到達目安 | 主な役職イメージ |
|---|---|---|
| 0〜1 年 | 業務時間の 3〜5 割を学習に投下、MA / SFA の基本操作と BtoB ファネル理解 | マーケアシスタント、Jr. デマンド担当 |
| 累計 1〜3 年 | L2 の基礎が固まる、1 チャネル or 1 セグメントを独力で運用可能 | デマンド担当、フィールドマーケ担当 |
| 累計 3〜5 年 | L3 を主要領域で運用可能、IS / 営業との SLA を設計できる | シニア担当、ABM 担当 |
| 累計 5〜7 年 | L1〜L4 を統合、年間プラン設計とチーム運営、CMO と数字で議論できる | マネージャー、Lead |
| 8〜10 年〜 | 全社のパイプライン責任、複数地域・複数プロダクト統括 | Director、Head of Demand、VP / CMO |
CMO までの典型ルートは「デマンド担当 → ABM / Field → デマンドマネージャー → BtoB マーケ Director → VP / CMO」。営業出身者が逆方向で参入してくる例も多い(第 6 章で詳述)。
ソフトスキル — 戦術知識と同じくらい効く
L1〜L4 はテクニカル寄りだが、現場では次のソフトスキルが年収カーブを大きく左右する。
| スキル | なぜ効くか |
|---|---|
| 営業との対話力 | デマンド職は営業との SLA で評価が決まる。「マーケがリードを投げて終わり」を脱出する鍵 |
| 数字で語る力 | 「MQL を X 件作りました」ではなく「パイプライン額 Y 億円、受注 Z 億円に寄与」で経営層と接続できる |
| 経営層への説明力 | 投資判断を取りに行く能力。L4 まで強くても説明できなければ予算は降りない |
| プロジェクトマネジメント | ウェビナー / 展示会 / ABM は複数部署横断、進行管理力が必須 |
| 英語力(外資 SaaS) | グローバル本社・APAC とのレポーティング・プログラム提案で必須 |
| 学習継続の習慣 | MA・ABM・AI 領域は 1〜3 年で大きく変わる。学習が止まると 3 年で陳腐化する |
外資 SaaS では特に「英語で本社・APAC と議論できるか」が等級と年収を分ける。Robert Walters サーベイの参照値でも、英語のあるなしでマーケ職の年収が 200〜500 万円差になることが頻繁に観察される。
営業出身者・IS 出身者の参入の強み
デマンド職は他職種からの参入が多い職能でもある。営業 / IS 出身者には、次の構造的強みがある。
- 顧客の購買行動・購買プロセスの解像度が高い
- 営業との対話で「マーケに何が必要か」を翻訳できる
- SQL 受け渡し後のフィードバックループを設計しやすい
- ABM の対象アカウント選定で、現場感覚を活かせる
逆に補う必要があるのは、 MA / SFA の運用、ファネル全体の数値設計、コンテンツ・チャネル横断の打ち手 である。
出典
- Build+「BtoB マーケティング職種ガイド|仕事内容・年収・必要スキルを徹底解説」(最終確認 2026-05-25): https://buildplus.io/jp/blog/marketing-btob-positions-guide
- Salesforce「MQL と SQL の違いとは?」(最終確認 2026-05-25): https://www.salesforce.com/jp/marketing/sql-vs-mql/
- cocorobi「MQL・SQL の定義と設計方法|BtoB マーケ × IS × FS が合意するリードステージの決め方」(最終確認 2026-05-25): https://cocorobi.co.jp/column/mql-sql-definition-btob/
- gaishitenshoku.com「外資 IT 年収ランキング【2026 年版】」(最終確認 2026-05-25): https://gaishitenshoku.com/gaishitenshoku_10myen/
第 4 章 — 平均年収と給与レンジ
デマンドジェネレーション職の年収は、職位・経験年数・所属セグメント・外資 / 内資・英語有無で大きく変わる。本章では、複数の公開データソースをクロスチェックしてレンジを提示する。 単一のデータに依存せず、自分の状況を「どのレンジに入りそうか」で読む ことを推奨する。
なお「デマンドジェネレーション」を職位名として独立明示する求人は国内ではまだ限定的で、「BtoB マーケター」「マーケティングマネージャー」「マーケティング担当」の中に内包されるケースが多い。本章のレンジは BtoB マーケ求人を広く含めて整理している。
全体水準
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| マーケティング職全体の平均年収 | 503 万円(時給 1,172 円) | 求人ボックス 給料ナビ(最終確認 2026-05-25) |
| マーケター全体の平均年収(経験 3 年以上) | 773 万円(フリーランスは平均 970 万円) | WACUL「マーケターのスキルと年収、転職意向の実態調査 2024」 |
| マーケター平均年収(複数調査の中央付近) | 500〜700 万円 | For Marketer 等の複数調査 |
| 日本の全業種平均年収(2025) | 429 万円 | doda「平均年収ランキング 2025」 |
マーケティング職全体の平均は全業種平均より約 70〜100 万円高く、BtoB マーケはさらにその中央〜上位帯に分布する。デマンド職に絞った専門調査は少ないが、 MA / SFA / 営業連携の経験 がある人は「BtoB マーケ平均より上」になることが多い。
公開求人で見られる実レンジ(デマンド明示求人)
「デマンドジェネレーション」を明示した公開求人で観察された年収レンジ。
| 求人 | 年収レンジ | 出典 |
|---|---|---|
| 応用技術株式会社「デマンドジェネレーション(デジタルによる売り上げ促進)」 | 500〜600 万円 | ミドルの転職(最終確認 2026-05-25) |
| さくらインターネット「デマンドジェネレーション(既存顧客・エンタープライズ領域)」 | 600〜800 万円 | OpenWork(最終確認 2026-05-25) |
| コーナー「マーケティング担当(デマンドジェネレーション責任者)」 | 530〜900 万円 | OpenWork(最終確認 2026-05-25) |
| AWS「Demand Generation Manager」 | 500 万円〜(応相談) | AMBI(最終確認 2026-05-25、参考) |
| KDDI「BtoB マーケティング(デマンドジェネレーション戦略立案・推進担当)」 | 応相談 | ビズリーチ(最終確認 2026-05-25) |
応募側の経験次第で同じ求人でも数百万円幅で動くため、「初期レンジ」と「実オファー」は別軸で読む必要がある。
経験年数別レンジ(BtoB マーケ全体)
Build+ の BtoB マーケ職種ガイドが提示する経験年数 × 役割の年収レンジ(クロスチェック用)。
| 経験 | 年収レンジ(中央付近) | 主たる役職イメージ |
|---|---|---|
| 未経験〜0 年 | 300〜500 万円 | マーケアシスタント、Jr. デマンド担当 |
| 実務経験 2 年 | 400〜650 万円 | デマンドジェネレーション担当、BtoB マーケ担当 |
| 実務経験 5 年 | 600〜1,000 万円 | シニア担当、ABM 担当、フィールドマーケ Lead |
| 実務経験 10 年 | 800〜1,500 万円 | マーケマネージャー、Director |
| 役職者・独立 | 1,000〜2,500 万円超 | Head of Demand、VP Marketing、CMO、独立 |
出典: Build+「BtoB マーケティング職種ガイド」(最終確認 2026-05-25)、WACUL「マーケターのスキルと年収、転職意向の実態調査 2024」、求人ボックス(最終確認 2026-05-25)
レンジの幅が大きいのは、 同じ経験年数でも所属セグメント(外資 / 内資 / 事業会社 / 代理店)と役職で年収が 2 倍以上開く ためである。
役割タイプ別レンジ(Build+ 集計)
Build+ が提示する BtoB マーケ役割別の年収レンジ(最終確認 2026-05-25)。スペシャリスト〜マネージャー混在の参考値。
| 役割 | 年収レンジ |
|---|---|
| Demand Generation | 600〜1,700 万円超 |
| Account-Based Marketing (ABM) | 600〜1,700 万円超 |
| Field Marketing | 500〜1,600 万円超 |
| Enterprise Marketing | 600〜1,800 万円超 |
| Product Marketing | 500〜1,400 万円超 |
| Customer Marketing | 500〜1,500 万円超 |
| Growth Marketing | 500〜1,600 万円超 |
| Head of Marketing | 800〜2,000 万円超 |
| VP of Marketing / CMO | 800〜2,500 万円超 |
出典: Build+「BtoB マーケティング職種ガイド」(最終確認 2026-05-25)
これらのレンジは外資 / 内資・上場 / 非上場を含んでおり、「上限は外資 SaaS マネージャー / 役員クラス」と読むのが現実的。
外資 SaaS と内資 SaaS の年収差
外資 SaaS / 外資 IT のマーケ職は、固定給 + ボーナス(固定給の 10〜15%)の構造で、内資より高い水準にあるとされる。
| 等級 | 年収レンジ(外資 SaaS / IT) | 出典 |
|---|---|---|
| マーケティングスペシャリスト | 800〜1,300 万円 | Robert Walters サーベイ(gaishitenshoku 経由、最終確認 2026-05-25) |
| マーケティングマネージャー | 1,000〜2,000 万円 | 同上 |
| Director / VP / CMO | 1,500〜3,000 万円超(ストックオプション等含む) | 同上 |
参考: Salesforce Japan の平均年収は約 1,100〜1,300 万円台、レンジは下限 400 万円〜上限 5,860 万円という観測あり(転職マガジン、最終確認 2026-05-25)。営業職(AE)と非営業職で構造が異なる点に注意。
外資 SaaS は「英語で本社・APAC と業務できる」「セールスとマーケのプロセスが整っている前提で動ける」が条件になることが多く、英語力の有無で年収が 200〜500 万円差になる場面が頻繁に観察される。
企業規模別レンジ(BtoB マーケ全体)
| 企業規模 | 年収レンジ(目安) | 特徴 |
|---|---|---|
| 中小・成長中 SaaS | 400〜800 万円 | ストックオプション等で上振れ余地、一人デマンド |
| 上場 SaaS(内資) | 500〜1,200 万円 | 制度が整い、ストックオプション、IPO 後成長 |
| エンタープライズ事業会社 | 500〜1,200 万円 | 制度は整うが年功要素、上限は職位次第 |
| 外資 SaaS / 外資 IT | 600〜2,000 万円超 | 固定 + ボーナス + RSU、ハイレンジ |
| BtoB マーケ支援会社・代理店 | 400〜1,000 万円 | 案件多数、独立しやすい |
参考: 求人ボックス(最終確認 2026-05-25)、gaishitenshoku.com「外資 IT 年収ランキング」(最終確認 2026-05-25)、SE Design「国内 SaaS 企業一覧」(2025-09 取得)
雇用形態別レンジ
| 形態 | 年収レンジ | 特徴 |
|---|---|---|
| 事業会社(インハウス・正社員) | 400〜2,000 万円超 | 上限は役職と外資 / 内資で大きく変動 |
| BtoB マーケ支援・代理店所属 | 400〜1,200 万円 | 案件数で経験積みやすい、独立への踏み台 |
| フリーランス・独立 | 案件単価次第、年収 1,000〜2,000 万円超もあり | WACUL 調査でフリーランスマーケター平均 970 万円 |
| 副業(本業 + 副業) | 副業月 5〜30 万円が目安 | 本業との利益相反に注意 |
出典: WACUL「マーケターのスキルと年収、転職意向の実態調査 2024」(最終確認 2026-05-25)
上位求人の実態
| 年収帯 | 主な求人ソース | 観測例 |
|---|---|---|
| 年収 1,000 万円超 | Green(マーケ職 1,000 万円以上 求人多数)、AMBI、ミドルの転職、リクルートエージェント | AI カメラ × SaaS の BtoB マーケ責任者候補 最大 900 万円、AI Inside SaaS のシニアマーケター、金融系 SaaS の BtoB マーケ責任者 等 |
| 年収 1,200 万円〜 | ビズリーチ、ロバートウォルターズ、Michael Page 等のエージェント | 外資 SaaS の Demand Gen Manager、Field Marketing Lead 等 |
| 年収 2,000 万円〜 | グローバル本社の幹部、Director / VP クラス | 外資 SaaS の VP Marketing、CMO クラス |
1,000 万円超の求人が多い背景には、 SaaS / FinTech / 製造業 DX 領域で「営業を回すマーケ機能」への投資が増えている ことがある。一方で、未経験・経験浅の場合はこのレンジに乗らない。
年収を伸ばすために効く 4 つの要素
複数のデータソースから抽出した、年収を伸ばしやすい要素。
| 要素 | 効きやすさ |
|---|---|
| パイプライン額への接続(MQL → SQL → 商談 → 受注) | ★★★★★ — 数字で経営に語れる人は等級が早く上がる |
| マネジメント経験 | ★★★★ — 5 名以上のチーム + IS / 営業連携の責任は管理職クラスの必須条件 |
| 英語力(外資 SaaS で働く前提) | ★★★★ — 外資 SaaS の上限を取りに行くには事実上必須 |
| MA × SFA の運用責任経験 | ★★★ — HubSpot / Marketo / Pardot + Salesforce の一気通貫経験は希少 |
| ABM プログラムの立ち上げ経験 | ★★★ — エンタープライズ営業との一体運用は高単価人材の条件 |
逆に、年収カーブが伸びにくいパターン:
- L4 ツール操作の経験が中心で、L1〜L2 の戦略思考が育っていない
- 1 つのチャネル(ウェビナーだけ、メールだけ)に閉じこもり、ファネル全体を見ていない
- 営業との対話が苦手で「マーケがリードを投げて終わり」のサイクルから抜けられない
- パイプライン額 / 受注額に接続せず、MQL 数 / リード数だけで報告している
出典まとめ
- 求人ボックス「マーケティングの仕事の平均年収」(最終確認 2026-05-25): https://xn--pckua2a7gp15o89zb.com/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AE%E5%B9%B4%E5%8F%8E%E3%83%BB%E6%99%82%E7%B5%A6
- WACUL「マーケターのスキルと年収、転職意向の実態調査 2024」(最終確認 2026-05-25): https://wacul.co.jp/lab/posts/freelance-marketer-skill-and-money-2024
- For Marketer「マーケターの平均年収はいくら?」(最終確認 2026-05-25): https://formarketer.jp/marketer/average-annual-income/
- Build+「BtoB マーケティング職種ガイド|仕事内容・年収・必要スキルを徹底解説」(最終確認 2026-05-25): https://buildplus.io/jp/blog/marketing-btob-positions-guide
- 外資転職ドットコム「外資 IT 年収ランキング【2026 年版】TOP50 社の職種別年収を徹底比較」(最終確認 2026-05-25): https://gaishitenshoku.com/gaishitenshoku_10myen/
- ミドルの転職 / OpenWork / ビズリーチ「デマンドジェネレーション」関連求人(最終確認 2026-05-25)
- doda「平均年収ランキング 2025」(最終確認 2026-05-25): https://doda.jp/guide/heikin/
- 転職マガジン「セールスフォース・ジャパンの年収」(最終確認 2026-05-25): https://recree.jobree.co.jp/col/%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%91%E3%83%B3-%E5%B9%B4%E5%8F%8E
データの取得年月は記事執筆時点(2026-05)。各転職サイトの集計値は四半期〜半期で更新されるため、交渉や応募の前に最新値を再確認することを推奨する。
第 5 章 — キャリアパス
デマンドジェネレーション職のキャリアパスは「上に上がる」一本道ではない。 深さの方向(スペシャリスト)・広さの方向(マーケ全般 / RevOps)・経営の方向(CMO・独立) の 3 軸で分岐する。本章では、典型的なステージ進行と、その先の選択肢を整理する。
ステージ進行の標準形
CMO マーケターキャリアガイド第 1 章のステージ定義をデマンド職に当てはめる。
| ステージ | 典型期間 | 主な意思決定 | 年収レンジ |
|---|---|---|---|
| L1 アシスタント | 0〜1 年 | 与えられた施策の実行、MA / SFA データ整備、レポート補助 | 300〜500 万円 |
| L2 担当 | 1〜4 年 | 1 チャネル or 1 セグメントの運用判断(ウェビナー、メール、展示会等) | 400〜750 万円 |
| L3 シニア担当 | 3〜7 年 | 複数チャネル統合、ABM プログラム設計、IS / 営業 SLA 設計 | 600〜1,100 万円 |
| L4 マネージャー | 5〜10 年 | 年間予算配分、チーム編成、CMO と数字で議論 | 800〜1,500 万円 |
| L5 Director / VP / Head | 8 年〜 | 全社の BtoB マーケ戦略、複数地域 / 複数プロダクト統括 | 1,200〜2,500 万円超 |
| L6 CMO / 経営層 | 10 年〜 | 経営会議メンバー、全社マーケ責任、独立 | 1,500〜3,000 万円超 |
出典: Build+「BtoB マーケティング職種ガイド」(最終確認 2026-05-25)、WACUL「マーケター実態調査 2024」、外資転職ドットコム(最終確認 2026-05-25)
ステージの進み方は人ごとに異なる。最短コースで L1 → L4 まで 6 年というケースも、L2 で 5 年留まって深く専門化するケースも、どちらも合理的な選択である。
3 つの分岐方向
L2 〜 L3 のあたりで、多くのデマンド職が次の 3 方向のいずれかへ分岐する。
方向 A: 深さ — スペシャリストとして極める
| 進路 | 内容 | 必要な強み |
|---|---|---|
| ABM スペシャリスト | 戦略アカウント向けのカスタマイズプログラム、エンタープライズ営業との一体運用 | エンタープライズ顧客理解、営業との対話力、6sense / Demandbase 等の操作 |
| Field Marketing スペシャリスト | 地域・特定セグメント向けの展示会・大型イベント、ローカルキャンペーン | プロジェクト管理、現場運営、ROI 設計 |
| Marketing Ops / RevOps スペシャリスト | MA × SFA × データ基盤、ダッシュボード、自動化 | SQL、データモデリング、Marketo / HubSpot / Salesforce の深い理解 |
| Lifecycle / Customer Marketing | 既存顧客向けナーチャリング、アップセル、クロスセル | ライフサイクル設計、CS との連携 |
| グローバル / APAC マーケティング | グローバル本社プログラムのローカライズ、複数国対応 | 英語、複数国の文化理解、規制対応 |
スペシャリスト方向は、 5 年以上同じ領域で深堀りできる組織 にいることが重要。外資 SaaS や上場 SaaS が特化スペシャリストの採用先になりやすい。
方向 B: 広さ — マーケ全般 / RevOps へ拡張
| 進路 | 内容 | 必要な強み |
|---|---|---|
| BtoB マーケ Director / VP | 全マーケ機能(デマンド + PMM + コンテンツ + ブランド)を統括 | マネジメント、予算配分、人材育成、経営説明 |
| Product Marketing Manager(PMM) | ICP・ポジショニング起点で全施策を設計 | 戦略思考、競合分析、市場理解 |
| Growth Marketing | BtoC + BtoB 横断で全チャネルから CV を伸ばす | 仮説検証、AB テスト、ファネル全体の理解 |
| Revenue Operations(RevOps) | マーケ + 営業 + CS の横断プロセス最適化 | データ基盤、SFA 設計、KPI 設計、組織横断調整 |
| Sales Enablement / Operations | 営業生産性最大化、コンテンツ・トレーニング・KPI 整備 | 営業プロセス理解、コンテンツ設計、トレーニング設計 |
広さ方向は、 マーケティングの上流(顧客理解・戦略)か、横の組織横断(RevOps)に時間を移す ことが鍵。デマンド職が L4 で詰まる多くは「上流に出られない」「営業と組織横断で動けない」ことが原因である。
方向 C: 経営 — CMO・独立・経営参画
| 進路 | 内容 | 必要な強み |
|---|---|---|
| 事業会社の CMO | 全社のマーケティングを統括、経営会議メンバー | 経営層との対話、予算・組織設計、長期戦略 |
| Head of Demand / VP Marketing | マーケ組織全体の運営 | マネジメント、採用、評価設計 |
| 独立 BtoB マーケコンサル | 複数クライアントへのコンサル、MA 導入支援 | 営業、価格設計、契約管理、複数業種理解 |
| BtoB マーケ支援会社の創業 | 自社事業として BtoB マーケ知見を商品化 | 経営、財務、組織設計 |
| インハウス CMO → SaaS / Tech 起業 | 自社プロダクトで市場を作る | プロダクト理解、経営、投資家対応 |
出典: MarkeZine「CMO は営業職のキャリアパス?BtoB 企業のマーケ部門が『マーケティング』を強化するために」、ASSIGN メディア「CMO を目指す人必見!CMO の役割とキャリアパス」(最終確認 2026-05-25)
CMO までの典型ルートは 「デマンド担当 → ABM / Field → デマンドマネージャー → BtoB マーケ Director → VP / CMO」 。営業出身者が「営業経験 → BtoB マーケ → CMO」の経路で参入するケースも近年多く、 BtoB マーケでは営業出身 CMO が珍しくない ことが、SEO や BtoC マーケと大きく異なる特徴。
マネジメント vs 個人貢献者の分岐
L3〜L4 で多くのデマンド職が直面する分岐。
| 個人貢献者を伸ばす | マネジメントを伸ばす |
|---|---|
| 自分で年間プランを組み、自分で実装まで持っていく | 5〜10 名のチームを率い、IS / 営業組織と SLA を握る |
| 専門領域(ABM / Field / Marketing Ops / Lifecycle)で第一人者を目指す | 採用・評価・組織設計に時間を移す |
| 副業・独立で個人ブランドを作る | 経営層との対話を増やし、予算交渉を担う |
外資 SaaS は個人貢献者(IC)トラックが整備されており、マネジメントに向かない人でも年収 1,500〜2,000 万円に到達するケースがある。内資はマネジメントトラック中心で、IC トラックは整備途上。
キャリアパスの違い — 外資 SaaS vs 内資 SaaS vs エンタープライズ
| 軸 | 外資 SaaS | 内資 SaaS | エンタープライズ事業会社 |
|---|---|---|---|
| 入り口 | 既に整備された MA / SFA / プログラムを回す | 0→1 / 1→10 でプログラム立ち上げ | 既存営業組織の中で BtoB マーケ機能を作る |
| 評価軸 | パイプライン額、グローバル KPI、英語コミュニケーション | パイプライン額 + ARR、ストックオプション込みの長期評価 | 制度年功 + 数字、社内政治 |
| 横展開 | グローバル本社・APAC 内での異動 | 別 SaaS への転職 | 製造業内の DX 部署 / マーケ部署内異動 |
| 上限 | 高い(IC で 2,000 万円、Director で 3,000 万円以上) | 中〜高(IPO 後 + ストックオプション) | 中(役職定年あり) |
| キャリア出口 | 別外資 SaaS、内資 SaaS の VP / CMO | 別 SaaS の VP / CMO、起業 | 製造業 DX 責任者、子会社 CMO |
「デマンドだけ」で年収カーブが詰まる典型パターン
複数の業界記事で繰り返し指摘される、年収が伸びなくなる典型パターン:
| パターン | 起きること | 抜け道 |
|---|---|---|
| 1 つのチャネルに 5 年以上 | 横展開の経験がなく、市場価値が読みにくい | 別チャネル or 別役割(ABM、Marketing Ops)への異動を希望 |
| ツール操作中心 | L4 だけで止まり、戦略の議論に入れない | L1〜L2 の学習に意図的に時間を投下 |
| 数字で語れない | 「MQL 数」だけで「パイプライン額・受注額」に接続できない | 月次報告に必ずパイプライン額・受注額を含める |
| 営業との対話が苦手 | SLA が機能せず、IS / 営業から信頼を失う | 営業現場に同行する、IS のヒアリング会を月次設計 |
| 英語を学んでいない | 外資 SaaS への出口が閉じる | 業務時間外で英語学習、外資カジュアル面談に出る |
| RevOps / データ基盤を学んでいない | 上流に出られず、Director に上がれない | SQL、データモデリング、計測設計を業務に組み込む |
出典
- Build+「BtoB マーケティング職種ガイド」(最終確認 2026-05-25): https://buildplus.io/jp/blog/marketing-btob-positions-guide
- マーキャリ NEXT CAREER「BtoB マーケターとは?」(最終確認 2026-05-25): https://media.mar-cari.jp/tenbo/article/1585
- MarkeZine「CMO は営業職のキャリアパス?BtoB 企業のマーケ部門が『マーケティング』を強化するために」(最終確認 2026-05-25): https://markezine.jp/article/detail/27748
- ASSIGN メディア「CMO を目指す人必見!CMO の役割とキャリアパスを解説」(最終確認 2026-05-25): https://assign-inc.com/media/2024/09/02/career-column-19/
- WACUL「マーケターのスキルと年収、転職意向の実態調査 2024」(最終確認 2026-05-25): https://wacul.co.jp/lab/posts/freelance-marketer-skill-and-money-2024
第 6 章 — 転職・職種転換
デマンドジェネレーション職の転職市場は、需要が高く求人数も増えている一方で、 求人票が抽象的で評価軸が読みにくい という特性がある。「BtoB マーケ担当」「マーケティングマネージャー」と書かれた求人の中身が、デマンドだったり PMM だったりコンテンツだったりする。本章では、転職・職種転換の判断軸と、市場で評価される経歴の作り方を整理する。
求人市場の現状
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| Indeed「Demand Generation」関連求人 | 100 件以上が常時掲載 | Indeed Japan(最終確認 2026-05-25) |
| Nikkei キャリア「デマンドジェネレーション(スキル)」関連求人 | 多数掲載 | career.nikkei.com(最終確認 2026-05-25) |
| ビズリーチ「デマンドジェネレーション」関連求人 | 50 件超 | bizreach.jp(最終確認 2026-05-25) |
| Green「マーケ職 1,000 万円以上」求人 | 多数掲載、BtoB マーケ含む | green-japan.com(最終確認 2026-05-25) |
| Robert Walters / Michael Page / JAC 等エージェント | 外資 SaaS Demand Gen Manager 等を非公開含めて多数保有 | 各社サイト(最終確認 2026-05-25) |
事業会社のインハウス BtoB マーケ求人は近年急速に増加し、特に SaaS / FinTech / 製造業 DX / 通信キャリア 領域で年収レンジが高い傾向がある。
評価される経歴の作り方
BtoB マーケ職の経歴書は、 「やった施策のリスト」ではなく「責任スコープと事業 KPI / パイプライン額の接続」 で書くと採用側に伝わる。
強い経歴の要素
| 要素 | 例 |
|---|---|
| 数字を前提込みで書く | 「年間予算 X 億の BtoB マーケ投資で、パイプライン Y 億 / 受注 Z 億に寄与(前提: ICP、競合状況、価格帯)」 |
| 意思決定の所有を示す | 「MQL / SQL 基準の最終決裁を所有、スコアリングロジックを四半期で更新」 |
| 営業との連携を示す | 「IS / Field Sales と週次の SLA レビュー、ハンドオフ完了率を X% → Y% に改善」 |
| 失敗と学習も書く | 「ABM プログラム最初の 6 か月は受注に寄与せず、ターゲット選定基準を再設計して受注率 X% に到達」 |
| 横の越境を見せる | 「PMM・CS と連携してケーススタディを四半期 X 本制作、IS のスクリプトに統合」 |
| 上流接続を見せる | 「事業 KPI(ARR、CAC)とマーケ KPI(パイプライン額、MQL → SQL 率)の接続を月次経営会議で提示」 |
弱い経歴の典型
| 弱い書き方 | 採用側にどう見えるか |
|---|---|
| 「BtoB マーケ施策を実施」 | 何をしたか不明、深さが見えない |
| 「MQL を増やしました」 | パイプライン額・受注への接続が不明、ツール操作にしか見えない |
| 「業界トップクラスのキャンペーン」 | 業界トップの定義が曖昧、誇張に見える |
| 「MA / SFA を活用」 | ツール名の羅列、意思決定が見えない |
| 「営業と連携」 | 何を連携したか、SLA があったかが不明 |
職種転換 — デマンド職への入り方
デマンド職は他職種からの参入が多い職能でもある。代表的な参入経路。
| 参入元 | 強み | 補う必要があるもの |
|---|---|---|
| 営業(Field Sales / AE) | 顧客理解、購買行動の解像度、商談・受注プロセス | MA / SFA 設計、ファネル全体の数値、コンテンツ設計 |
| Inside Sales(SDR / BDR) | リード対応のリアル、ヒアリング、商談化プロセス | 上流のリードジェネレーション設計、MA、ABM |
| BtoC マーケター | ファネル設計、計測、AB テスト、広告運用 | BtoB の複数決裁者プロセス、長い購買サイクル、ABM |
| コンテンツマーケター | テーマ設計、編集、検索意図 | MA × SFA、営業連携、ABM |
| 営業企画・事業企画 | 数値設計、戦略思考、社内調整 | コンテンツ作成・配信、MA / SFA の現場運用 |
| BtoB プロダクト企画・PMM | ICP、ポジショニング、競合理解 | ファネル運用、MA、ナーチャリング |
| コンサル(戦略 / IT) | フレームワーク、論理構造化、プレゼン | 実装スピード、現場運用、MA / SFA 操作 |
出典: 株式会社 unname「法人営業のネクストキャリアに『BtoB マーケター』という提案」、Sairu「BtoB マーケター採用の Q&A」(最終確認 2026-05-25)
未経験からの参入は、 最初の 1 年で集中的に学ぶ環境 を選ぶことが鍵。具体的には:
- 内資 SaaS の BtoB マーケチーム(先輩から学べる、0→1 フェーズに巻き込まれる)
- BtoB マーケ支援会社(複数案件で短期に経験を積む)
- 外資 SaaS のジュニアポジション(整備されたプロセスを習得)
の 3 経路が標準ルート。
職種転換 — デマンドからの出方
逆に、デマンド出身でキャリアを広げる方向の選択肢。
| 出口 | 強み | 補う必要があるもの |
|---|---|---|
| プロダクトマーケター(PMM) | ファネル理解、顧客行動 | ICP・ポジショニング設計、競合分析、プロダクト連携 |
| Revenue Operations(RevOps) | パイプライン理解、MA × SFA、データ | データ基盤、SQL、組織横断調整、CS との連携 |
| Sales Enablement | 営業連携、コンテンツ、KPI 設計 | 営業プロセス、トレーニング設計、SFA |
| BtoB マーケ Director / VP | 全マーケ統括、経営説明 | PMM / ブランド / コンテンツの統合視点、人材育成 |
| カスタマーマーケティング | ナーチャリング、シナリオ、ライフサイクル | CS 連携、アップセル / クロスセル設計 |
| 独立 BtoB マーケコンサル | 多業種理解、MA 導入支援、ABM 設計 | 営業、契約、価格設計 |
| 起業(SaaS / マーケ支援) | パイプライン構築、組織横断 | 経営、財務、プロダクト |
転換時は、 「いきなり別職種に移る」より「現職で隣接領域を担当する」 ほうが成功率が高い(CMO マーケターキャリアガイド第 8 章「キャリア移行」と同じ原則)。
外資 SaaS への転職 — 何が違うか
| 軸 | 内資 SaaS / 事業会社 | 外資 SaaS |
|---|---|---|
| 面接プロセス | 1〜3 回、日本語中心 | 4〜6 回、英語面接含む(マネージャー以上は必須) |
| 求められる経歴 | 0→1 立ち上げ、ファネル全体運用 | 既存プログラムのスケール、グローバル本社との連携 |
| 評価される経歴 | MA / SFA 設計、営業との SLA、ABM | 複数地域経験、英語でのレポーティング、グローバル KPI |
| オファー構造 | 固定給中心、ストックオプションあり | 固定給 + ボーナス + RSU(株式報酬) |
| カルチャー | 文化習得が必要、上下関係あり | グローバル基準、フラット、英語必須業務多数 |
外資 SaaS の求人は エージェント経由(Robert Walters、Michael Page、JAC Recruitment、ロバート・ハーフ等)が中心 で、公開求人より非公開求人のほうが条件が良いことが多い。
副業・独立の道
BtoB マーケ / デマンドジェネレーションは、副業・独立に親和性が高い職能である。理由は以下のとおり。
- 案件単位で稼働量を調整しやすい(顧問契約、スポット契約、月額契約)
- 成果がパイプライン額・受注額で示せるため、価格交渉の根拠を作りやすい
- MA 導入支援・ABM 設計・営業連携設計など、専門性が高い領域は単価が高い
副業から独立を検討する場合、 辞める前に本業給与の 6 割を副業で再現する ことが、安全度の高い独立タイミングの目安(CMO マーケターキャリアガイド第 8 章)。
| 副業形態 | 月額目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| スポット相談 | 案件次第(数万〜十数万円) | 単発で再現性が低い、立ち上がりに時間 |
| 月額顧問契約 | 10〜30 万円 | 安定するが、本業との利益相反に注意 |
| MA 導入支援プロジェクト | 月 30〜100 万円 | プロジェクト集中、独立の主力収入源になりやすい |
| ABM プログラム設計支援 | 案件 50〜200 万円 | エンタープライズ営業との連携経験が必須 |
| BtoB マーケ部門の立ち上げ伴走 | 月 30〜80 万円 × 数か月 | 経営層との直接の対話が必要 |
WACUL の調査では、フリーランスのマーケター平均年収は 970 万円。BtoB マーケ・MA 領域は特に単価が高く、 MA 導入支援だけで 1,000〜2,000 万円超 に到達するフリーランスもいる。
出典
- Indeed Japan「Demand Generation」求人検索(最終確認 2026-05-25): https://jp.indeed.com/q-demand-generation-%E6%B1%82%E4%BA%BA.html
- Nikkei キャリア「デマンドジェネレーション(スキル)」(最終確認 2026-05-25): https://career.nikkei.com/kyujin/skl_522/pg1/
- ビズリーチ「デマンドジェネレーション」求人(最終確認 2026-05-25): https://www.bizreach.jp/job/j/KWA1002507/
- 株式会社 unname「法人営業のネクストキャリアに『BtoB マーケター』という提案」(最終確認 2026-05-25): https://note.com/unname/n/nc9973d6afb1e
- Sairu「BtoB マーケター採用のよくある質問と回答」(最終確認 2026-05-25): https://sairu.co.jp/method/9044/
- WACUL「マーケターのスキルと年収、転職意向の実態調査 2024」(最終確認 2026-05-25): https://wacul.co.jp/lab/posts/freelance-marketer-skill-and-money-2024
第 7 章 — 学習リソースと資格
デマンドジェネレーションは、業務時間内の実装経験と、業務時間外の体系学習の両方が必要な職能である。本章では、1〜3 年で着地するために効く学習リソースと、市場で評価されやすい資格・実績を整理する。
学習の 3 階層
学習は次の 3 階層に分けて、それぞれに時間を投下する。
| 階層 | 内容 | 時間配分(目安) |
|---|---|---|
| 一次情報 | ベンダー公式ドキュメント(HubSpot Academy、Marketo Univercity、Salesforce Trailhead)、自社データ | 30% |
| 体系書籍・論文 | BtoB マーケティング・ABM・ファネル設計の体系書、購買行動理論 | 30% |
| 業界ブログ・コミュニティ | MarkeZine、ITmedia マーケティング、海外ブログ(Forrester、SiriusDecisions、Gartner)、コミュニティ | 40% |
L3〜L4 のスキルだけを積みたい場合は業界ブログ + ベンダードキュメント中心で十分だが、L1〜L2 を伸ばしたい場合は 体系書籍と一次情報(自社データ)の比率を高める ことが重要。
必須リソース(ベンダー公式)
| リソース | 役割 |
|---|---|
| HubSpot Academy | HubSpot 操作 + インバウンドマーケティング体系の無料学習 |
| Marketo Univercity(Adobe) | Marketo Engage 操作 + マーケオートメーションの体系学習 |
| Salesforce Trailhead | Salesforce / Pardot 操作 + マーケクラウドの体系学習 |
| 6sense Academy | ABM / Predictive ABM の体系学習 |
| Demandbase Academy | ABM 戦略・実装の体系学習 |
| LinkedIn Marketing Labs | LinkedIn 広告・BtoB マーケの体系学習 |
これらは無料かつ最新の一次情報。デマンド職の入門者は、まず HubSpot Academy または Marketo Univercity のどちらかを 1 か月集中で受講することが推奨される。
認定資格
BtoB マーケ・デマンド職に必須の資格は少ないが、 採用面接で会話の幅を広げる効果 + MA 導入支援フリーランスでの信頼形成 がある。
| 資格 | 効きやすさ | 内容 |
|---|---|---|
| HubSpot Inbound Marketing Certification | ★★★ | HubSpot 認定、無料、世界的に通用 |
| HubSpot Marketing Software Certification | ★★★ | HubSpot 操作の認定、フリーランス案件で評価 |
| Marketo Certified Associate | ★★★ | Marketo の基礎認定(メールマーケ、効果測定等) |
| Marketo Certified Expert | ★★★★ | Marketo の上級認定、エキスパートポジションで高評価 |
| Salesforce Marketing Cloud / Pardot 認定 | ★★★ | Salesforce 系の MA 認定、エンタープライズで評価 |
| 6sense / Demandbase 認定 | ★★ | ABM 領域の専門資格、外資 SaaS で評価 |
| Google アナリティクス個人認定資格 → Skillshop の各種認定 | ★★ | GA4 の基礎理解の証明 |
| ウェブ解析士 | ★ | 国内資格、計測・分析の基礎 |
資格は「持っていれば年収が上がる」ものではなく、 学習の起点とコミュニティアクセスの手段 として位置づけるほうが現実的。ただし、HubSpot / Marketo / Salesforce の認定は、 フリーランス独立時のクライアント獲得には実質必須 のレベルになりつつある。
推奨書籍(日本語)
書籍は陳腐化のサイクルが書籍ごとに違うため、 発行年と最終確認年を必ず見る こと。
| 領域 | 代表的な書籍ジャンル | 学べること |
|---|---|---|
| BtoB マーケ入門 | 「最強の BtoB マーケティング ロジック営業組織のつくり方」「マーケティングオートメーション 最強の導入手法」「シン・ニホン」(事業観として) | BtoB マーケの体系、MA 導入プロセス |
| デマンドジェネレーション体系 | 「デジタル時代の基礎知識『BtoB マーケティング』」 等 | リードジェネレーション → ナーチャリング → クオリフィケーションの 3 段階 |
| ABM | 「最新の B2B マーケ戦略 ABM」「アカウントベースドマーケティング」 等 | ABM の戦略・実装、ITSMA フレームワーク |
| 営業 × マーケ連携 | 「The Model」(福田康隆)「インサイドセールス スターターパック」 等 | The Model、マーケ × IS × FS の SLA、Salesforce 系の運用 |
| 計測・データ | 「Google アナリティクス 4 公式リファレンス」「データドリブンマーケティング」 等 | GA4 仕様、計測設計、データドリブン思考 |
特に「The Model」(福田康隆)は、日本の BtoB SaaS 業界における共通言語であり、デマンド職の必読書として広く認識されている。
海外リソース(中級〜上級)
| リソース | 特徴 |
|---|---|
| Forrester(旧 SiriusDecisions) | B2B マーケのリサーチ、デマンドウォーターフォール、ABM の最先端 |
| Gartner for Marketers | BtoB マーケのベンチマーク、テクノロジーランドスケープ |
| Marketing Profs(B2B Forum) | 実践的な BtoB マーケ記事、コミュニティ |
| Heinz Marketing Blog | デマンドジェネレーション専門の老舗ブログ |
| Demand Curve | デマンド系コンテンツの最先端、無料テンプレ多数 |
| MarTech Today | マーケテックの業界ニュース |
| HubSpot Blog | インバウンドマーケ・営業の戦術 |
英語を読むことができれば、 日本語のみで情報収集している人より 6〜12 か月先の知見 にアクセスできる。Forrester / Gartner のレポートは有料だが、無料抜粋・ウェビナーは経営層との会話で強力な武器になる。
ABM / Predictive ABM の学習リソース
2020 年代に急速に立ち上がった領域。書籍はまだ少なく、 公式アナウンス + 業界ブログ + 一次実験 が主な情報源。
| リソース | 内容 |
|---|---|
| 6sense Blog / Academy | Predictive ABM、購買インテント、AI Outbound |
| Demandbase Resources | ABM の戦略実装、エンタープライズ営業との連携 |
| RollWorks Blog | ABM の中小企業向け実装 |
| LinkedIn ABM Resources | LinkedIn を使った ABM 実装 |
| 一次実験 | 自社で ABM プログラムを 50 社規模で試し、結果を観察 |
ABM 領域は、 読むだけでなく自分で実験して学ぶ ことが効果的。手元のターゲットアカウント 50 社で「どのコンテンツが反応するか」を四半期で観察する習慣をつけると、業界 5 年目クラスの解像度が早く育つ。
国内コミュニティ・イベント
| コミュニティ / イベント | 特徴 |
|---|---|
| MarkeZine(翔泳社) | BtoB マーケ含む業界記事、年次イベント MarkeZine Day |
| BeMARKE(ビーマーケ) | BtoB マーケ専門メディア・コミュニティ |
| BtoB マーケティングカンファレンス | 業界横断のカンファレンス |
| HubSpot User Group(HUG)東京 | HubSpot ユーザーの実践共有 |
| Marketo Engage ユーザー会 | Marketo ユーザーの実践共有 |
| Salesforce World Tour Tokyo | Salesforce 系のグローバルカンファレンス(日本版) |
| The Model 読者コミュニティ | 福田康隆氏の書籍コミュニティ、SaaS 実務者多数 |
業界コミュニティは、 実装の質問ができる場 + 転職機会の引き合いを増やす場 として活用すると年収カーブが安定する。
実績の作り方
資格より評価されるのは、 公開できる実績 である。
| 実績の作り方 | 効果 |
|---|---|
| 自分の note・ブログで BtoB マーケ実践記事を書く | 経歴書のリンクとして使える、転職時の差別化 |
| 業界カンファレンス・勉強会で登壇 | 業界内での認知形成、転職機会の引き合いが増える |
| The Model コミュニティ等で実践共有 | エンタープライズ営業との連携経験で差別化 |
| 公開ケーススタディの執筆(守秘義務に配慮) | コンサル独立時に強力な営業資料になる |
| Twitter / X / LinkedIn での発信 | 業界内ネットワーク、最新情報の双方向収集 |
実績は「専門家になってから作る」ものではなく、 学び始めの段階から書く ほうが、思考が整理されやすい(CMO マーケターキャリアガイド第 7 章「継続学習と成長プラクティス」と同じ原則)。
1〜3 年計画の組み方
最初の 3 年を、次のように配分すると着地が早い。
| 期間 | 学習の重心 |
|---|---|
| 0〜3 か月 | HubSpot Academy or Marketo Univercity 集中受講、BtoB ファネルと MQL / SQL の理解 |
| 3〜12 か月 | MA ツール 1 つで実務、業務で 1 つは数字を持つ、月 1 で書籍 1 冊 |
| 12〜24 か月 | L3 戦術を主要領域(ウェビナー、ABM、メールナーチャ等)2 つで実践、英語コンテンツを週次 |
| 24〜36 か月 | 上流(事業 KPI 接続、営業との SLA 設計)へ時間を移す、登壇 or 発信 1 回、外資 SaaS のカジュアル面談に 3 件は出る |
3 年で「ある程度の成果を出せるレベル」、5 年で「大きな成果に結びつく」が業界の標準カーブ。デマンド職は特に MA × SFA × 営業連携の経験を 3 領域以上持つこと が、転職市場での評価を分ける。
出典
- HubSpot Academy: https://academy.hubspot.com/
- Marketo Univercity(Adobe): https://nation.marketo.com/t5/marketo-university/ct-p/marketo-university
- Salesforce Trailhead: https://trailhead.salesforce.com/
- 「BtoB マーケティングにおすすめな資格 10 選」(レバテックフリーランス、最終確認 2026-05-25): https://freelance.levtech.jp/guide/detail/31883/
- WACUL「マーケターのスキルと年収、転職意向の実態調査 2024」(最終確認 2026-05-25): https://wacul.co.jp/lab/posts/freelance-marketer-skill-and-money-2024
- BeMARKE「MA に関するセミナーを見るならこの会社」(最終確認 2026-05-25): https://be-marke.jp/articles/knowhow-ma-seminar