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title: パフォーマンスドメイン
chapter: "03"
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  - claude
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revision: 0.3
updated: 2026-05-19
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  - foundations/principles
  - foundations/cycle
  - knowledge-areas/measurement-martech
  - cross-cutting/org-learning
  - cross-cutting/maturity-model
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  - knowledge/marketing/glossary/metrics-glossary.md
  - knowledge/marketing/playbook/knowledge-areas/measurement-martech/measurement-incrementality.md
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# パフォーマンスドメイン

## この章で解く問題

**要点: 単一 KPI / 単一 KA で測ると、マーケが組織にもたらす多面的な成果が必ず取りこぼされる。パフォーマンスドメインはこの取りこぼしを構造的に防ぐための観測軸である。**

実務では次の状態が頻発する。

- 短期 ROAS だけで成果を判定し、ブランド資産（指名検索・想起）が枯渇する
- NPS だけを見て、パイプライン金額の停滞に気づかない
- 「マーケ部門の評価指標 = MQL 件数」となり、組織能力・学習速度・リスク管理が誰の責任でもなくなる
- 計測ダッシュボードに 30 指標並んでいるが、ドメイン間のトレードオフは誰も議論しない

これらは**1 つの KA に閉じた成果指標**を組織全体の成果と混同したときに起きる。マーケが事業に与える影響は多次元であり、1 軸だけで判定すると残りの軸は犠牲になる。

本章は次の 2 つを提供する。

- **6 つのパフォーマンスドメイン**: KA とは直交する評価軸として、Customer Value / Brand Equity / Pipeline & Revenue / Learning Velocity / Org Capability / Risk & Trust を置く
- **ドメイン間トレードオフの可視化**: 衝突パターンを構造的に並べ、経営判断の場に乗せる

PMBOK 7th edition の "Performance Domains" 概念を踏襲しつつ、マーケ固有のドメインで再構成した。既存学派との詳細比較は §3.6、理論的背景は §3.7、フレームワークカタログは §3.8 にまとめる。

### 対象範囲

**パフォーマンスドメイン**は、複数の知識エリアを横断する**成果観点**である。1 つの知識エリアに閉じない成果（例: ブランド資産は 08 だけでなく 11 / 12 / 17 にも影響される）を捕捉するため、KA とは直交する評価軸として置く。

KPI 設計（13 章）、Marketing OS 成熟度評価（22 章）、組織学習速度の測定（18 章）はすべてパフォーマンスドメインを基盤とする。

## 6 つのパフォーマンスドメイン

### Customer Value（顧客価値）

顧客が実際に得ている価値の量と質。「自社サービスが解消した Job の重要度 × 達成度」で捉える。

主要指標例: NPS、CSAT、JTBD 達成度、解約理由、紹介率、利用頻度の変化

時間軸: 中〜長期（数週〜数四半期）

### Brand Equity（ブランド資産）

カテゴリ内での想起・連想・選好の総体。短期施策では動かないが、長期では他のドメイン全てに影響する基底資産。

主要指標例: 指名検索数、ブランド想起率、純粋想起 vs 助成想起、share of voice、指名比率

時間軸: 長期（数四半期〜数年）

### Pipeline & Revenue（パイプライン・売上）

需要創出から売上計上までの流れ。最も直接的な事業貢献を測るドメイン。

主要指標例: MQL / SQL / Opportunity / Closed-Won の各転換率、パイプライン金額、ROAS、Payback Period

時間軸: 短〜中期（数日〜数四半期、業種により変動）

### Learning Velocity（学習速度）

組織が 1 サイクルを回す速さと、サイクル間で profile（前提）が更新される割合。CMO Marketing OS Playbook 独自のドメインであり、Marketing OS の駆動力そのものを測る。

主要指標例: サイクル所要日数、Evidence Level E3 への昇格件数、再構築段で再構築された前提数、AI 採否ログの記録率

時間軸: 短〜中期（数週〜数四半期）

### Org Capability（組織能力）

マーケ組織の機能を発揮できる能力。スキル・体制・他部門連携を含む。

主要指標例: 役割充足率、スキルマップのカバレッジ、機能対別の摩擦件数（[`../knowledge-areas/stakeholder/`](../knowledge-areas/stakeholder/)）、属人化指数

時間軸: 中〜長期（数四半期〜数年）

### Risk & Trust（リスク・信頼）

ブランド・法務・顧客体験・データ取扱・AI 出力のリスクと、それが棄損されない状態（信頼）。

主要指標例: 重大インシデント数、コンプラ違反件数、AI ハルシネーション検出率、ブランドセーフティ違反件数、顧客信頼指数

時間軸: 平時は監視のみ、有事は短期

## ドメイン間のトレードオフ

6 つのドメインは独立ではなく、しばしば衝突する。CMO Marketing OS Playbook は衝突を**構造的に可視化することを目的**とし、解消方法は状況依存とする（[`../cross-cutting/tailoring.md`](../cross-cutting/tailoring.md)）。

典型的な衝突パターン:

| トレードオフ | 概要 |
|---|---|
| **Pipeline vs Brand Equity** | 短期売上を追うと指名検索・想起への投資が削られる。逆もまた然り |
| **Learning Velocity vs Risk & Trust** | 速く回そうとすると承認・計測・ロールバックが薄くなる |
| **Customer Value vs Pipeline** | 解約防止やオンボーディング改善への投資は短期パイプラインを直接増やさない |
| **Org Capability vs Pipeline** | 組織能力構築（採用・育成）は短期 KPI を直接動かさない |
| **Learning Velocity vs Org Capability** | 速く回すことに最適化すると人材育成のサイクルが追い付かない |

トレードオフは**経営判断**であって、Marketing OS は判断を自動化しない。判断と判断根拠を [`../foundations/principles.md`](principles.md) の Principle 6（AI Decision Accountability）に従って記録する。

トレードオフの判定で特に注意すべきは、**多くのドメインが非線形に顕在化する**ことである（[`principles.md`](principles.md) 補題 I）。例えば Brand Equity は数四半期〜年単位で動く一方、Pipeline は週次で動くため、短期の線形比較では Brand Equity が常に「効果なし」と判定される。各ドメインに固有の時間軸を事前に明示し、線形評価で施策の正誤を誤判定しないようにする。

## 12 KA との対応

各知識エリアがどのドメインに主に寄与するかを以下に整理する。**寄与は排他ではない**（多くの KA は複数ドメインに影響する）。

| KA | 主寄与ドメイン | 副次寄与 |
|---|---|---|
| 05 統合・戦略 | Learning Velocity / Org Capability | 全般 |
| 06 Intelligence | Customer Value / Learning Velocity | Brand Equity |
| 07 ICP・ポジショニング | Brand Equity / Pipeline | Customer Value |
| 08 ブランド・ナラティブ | Brand Equity | Customer Value |
| 09 ProdMkt & JTBD | Customer Value / Pipeline | Brand Equity |
| 10 価格・オファー設計 | Pipeline | Customer Value |
| 11 需要・ライフサイクル | Pipeline / Customer Value | Brand Equity |
| 12 コンテンツ・チャネル | Pipeline / Brand Equity | Customer Value |
| 13 計測・MarTech | Learning Velocity | 全般（測定基盤） |
| 14 組織・能力 | Org Capability / Learning Velocity | — |
| 15 ステークホルダー連携 | Org Capability | Learning Velocity |
| 16 リスク・コンプライアンス | Risk & Trust | Brand Equity |

このマトリクスは KPI 設計時に「どのドメインを動かしたいか → どの KA を強化すべきか」の参照軸として使う。

## マーケティングサイクルとの接続

各段で観測・更新するドメイン:

| 段 | 主に観測するドメイン |
|---|---|
| **観測・データ収集** | 全 6 ドメインのベースライン取得 |
| **理解・分析する** | Customer Value / Brand Equity のギャップ抽出 |
| **再構築** | ドメイン間トレードオフの可視化と再構築判断 |
| **起動・実装する** | Pipeline / Customer Value の短期動向、Risk & Trust の事前チェック |
| **学ぶ** | Learning Velocity の自己測定、全ドメインの結果書き戻し |

Learning Velocity だけは「Marketing OS 自身を測るドメイン」であり、他 5 ドメインとはメタレベルが異なる。

## 既存の学派・伝統との関係

**要点: マーケの成果観点モデルは複数提案されている。CMO Marketing OS Playbook の 6 ドメインは既存モデルを否定せず、Learning Velocity を独立軸として明示する点で差別化する。**

| モデル | 出典・主提唱者 | 年代 | 主目的 | 6 ドメインとの位置取り |
|---|---|---|---|---|
| **Balanced Scorecard（BSC）** | Kaplan & Norton | 1992 | 財務 / 顧客 / 内部プロセス / 学習成長の 4 視点 | 6 ドメインの祖型。Customer Value / Pipeline / Org Capability / Learning Velocity に対応 |
| **OKR**（Objectives & Key Results） | Andy Grove → John Doerr | 1970s / 1999 | 短サイクルでの目標管理 | KPI 設計（13 章）の運用フレーム。ドメイン軸ではなく目標軸 |
| **North Star Metric（NSM）** | Sean Ellis 系譜 | 2010s | 単一の北極星指標 | Pipeline / Customer Value のうち 1 つを代表値とする運用。トレードオフは陽に扱わない |
| **AARRR Pirate Metrics** | Dave McClure | 2007 | ファネル指標 | Pipeline & Revenue ドメイン内のフレーム |
| **HEART Framework** | Google | 2010 | プロダクト体験の 5 指標（Happiness / Engagement / Adoption / Retention / Task success） | Customer Value ドメインの内訳 |
| **PMBOK 7 Performance Domains**（8 個） | PMI | 2021 | プロジェクト成功軸（利害関係者 / チーム / 開発アプローチ / 計画 / プロジェクト作業 / デリバリー / 測定 / 不確実性） | 6 ドメインの構造的祖型。マーケに合わせて再構成 |
| **Marketing Performance Measurement（MPM）** | Patrick LaPointe 他 | 2000s | 媒体 ROI 中心の評価 | Pipeline & Revenue 単独偏重の典型。ブランド・学習・組織は射程外 |
| **EBIT-Driven Marketing**（M&S 系） | Mark Ritson 他 | 2010s | 短期売上と長期ブランドの両立 | Pipeline と Brand Equity のトレードオフを論じる伝統 |
| **Customer Lifetime Value（CLV）軸** | Fader / Hardie | 2005〜 | 顧客資産の長期計測 | Customer Value と Pipeline & Revenue の橋渡し |
| **Brand Value Chain** | Keller | 2003 | ブランド投資 → 顧客マインドセット → 市場成果 → 株主価値 | Brand Equity ドメインの理論的骨格 |
| **ESG / Marketing Sustainability** | 各種 | 2010s〜 | 環境・社会・ガバナンス観点での評価 | Risk & Trust ドメインに部分的に含まれる |

このうち BSC と PMBOK 7 Performance Domains が 6 ドメインの最も近い祖型である。BSC の「学習と成長」が Learning Velocity と Org Capability に分かれ、「顧客」が Customer Value と Brand Equity に分かれた、と読める。NSM や AARRR のような単一指標 / 単一ファネル モデルは Pipeline ドメイン内の運用フレームとして併用する。

CMO Marketing OS Playbook が 6 ドメインを構造化する独自性は **Learning Velocity を独立ドメインに昇格させる**点にある。BSC の「学習成長」は実質的に従業員研修・スキル投資に閉じることが多く、組織が **マーケサイクル自体をどれだけ速く更新できるか** という観測軸を持たない。

## 理論的背景

**要点: 6 ドメインは戦略管理論・組織能力論・マーケティング会計の積み上げをマーケ運用に落としたものである。**

この節は補足である。

### 戦略管理論

- **Kaplan & Norton（1992, 1996）"The Balanced Scorecard"**: 財務指標だけでは戦略遂行を測れないことを示し、4 視点モデルを提案した。6 ドメインの最も近い祖
- **Kaplan & Norton（2004）"Strategy Maps"**: 戦略仮説の因果連鎖を可視化する手法。ドメイン間のトレードオフ（§3.3）を扱うための下敷き
- **Porter（1980 / 1985）"Competitive Strategy" / "Competitive Advantage"**: 競争優位の源泉を構造化。Brand Equity / Org Capability の理論的位置づけに寄与

### 組織能力論

- **Day（1994）"The Capabilities of Market-Driven Organizations"**: 市場連動を組織能力として扱う。Org Capability ドメインの直接の理論基盤
- **Teece, Pisano & Shuen（1997）"Dynamic Capabilities"**: 環境変化に応じた能力再構築。Learning Velocity ドメインの理論基盤
- **Eisenhardt & Martin（2000）"Dynamic Capabilities: What Are They?"**: Dynamic capabilities の実証研究。学習速度と業績の関係を示す

### マーケティング会計・測定論

- **Srinivasan & Hanssens（2009）"Marketing and Firm Value"**: マーケ施策と企業価値の長期関係。Brand Equity と Pipeline & Revenue を分けて測る必要性の実証
- **Lenskold（2003）"Marketing ROI"**: マーケ ROI の構造化。Pipeline & Revenue ドメインの計算基盤
- **Farris, Bendle, Pfeifer & Reibstein（2010）"Marketing Metrics"**: マーケ指標の網羅辞典。13 章 計測・MarTech の参照書

### リスク管理論

- **COSO ERM Framework**: 企業リスク管理の標準フレーム。Risk & Trust ドメインの構造的祖型
- **AI Risk Management（NIST AI RMF, 2023）**: AI 固有リスクの管理フレーム。17 章 AI in Marketing と連動

引用文献の詳細は [`../appendices/references.md`](../../reference/references.md) §E.6 を参照。

## 主要フレームワーク・手法カタログ

**要点: 6 ドメインを実務で測るためのフレームワークと指標群を、ドメイン別に一覧化する。**

### Customer Value の測定フレーム

- **NPS / CSAT / CES**: 推奨意向・満足度・努力度の標準指標
- **JTBD 達成度**: Job ごとの達成率と重要度の積
- **HEART Framework**: Happiness / Engagement / Adoption / Retention / Task success
- **Cohort Retention Curves**: 時系列での顧客残存率
- **Customer Lifetime Value（CLV / LTV）**: 顧客一人あたり生涯価値
- **Voice of Customer（VoC）解析**: 顧客の声の構造化

### Brand Equity の測定フレーム

- **Aaker's Brand Equity Model**: Brand Awareness / Perceived Quality / Loyalty / Associations
- **Keller's Customer-Based Brand Equity（CBBE）**: ピラミッド構造（Salience → Performance / Imagery → Judgments / Feelings → Resonance）
- **Brand Value Chain**: ブランド投資から株主価値までの因果連鎖
- **Share of Voice / Share of Search**: 市場内の言及・検索シェア
- **Brand Lift Studies**: 広告露出と想起・選好の差分計測
- **Helpful, Reliable, People-First Content（Google E-E-A-T）**: 検索文脈での信頼形成

### Pipeline & Revenue の測定フレーム

- **AARRR Pirate Metrics**: Acquisition / Activation / Retention / Referral / Revenue
- **MQL / SQL / Opportunity / Closed-Won 転換率**: B2B 標準ファネル
- **ROAS / Payback Period / CAC / LTV-to-CAC**: ユニットエコノミクス指標
- **Marketing Mix Modeling（MMM）**: チャネル寄与の長期推定
- **Incrementality Testing（Geo / Holdout）**: 真の因果効果
- **Multi-touch Attribution**: 接点寄与の配分

### Learning Velocity の測定フレーム

- **サイクル所要日数**: 観測・データ収集の起点 → 学ぶ書き戻しまでの日数
- **Evidence Level 昇格件数**: E2 → E3 への昇格件数 / サイクル
- **再構築候補件数 / 採用件数**: 再構築候補の生成と採用の比率
- **AI 採否ログ記録率**: AI 出力に対する判断ログの完備率
- **再構築頻度**: 前提（KPI / ICP / 施策ラインナップ）の組み替え頻度
- **書き戻し時間ラグ**: 結果発生から profile 更新までの時間

CMO Marketing OS Playbook 独自のドメインであり、業界標準フレームはまだ確立していない。本書が一次定義する。

### Org Capability の測定フレーム

- **役割充足率 / DRI 設定率**: ポストの埋まり方
- **スキルマップ・カバレッジ**: 機能対別のスキル網羅
- **属人化指数**: 1 人に依存する業務の割合
- **9-Box Talent Review**: パフォーマンスとポテンシャルの 2 軸評価
- **eNPS（Employee NPS）**: 従業員推奨度
- **Cross-functional Friction Score**: 機能対別の摩擦件数（15 章 ステークホルダー連携）

### Risk & Trust の測定フレーム

- **Brand Safety Violation Rate**: 配信先・隣接コンテンツのブランド毀損率
- **Compliance Incident Count**: 法令・社内規程の違反件数
- **AI Hallucination Detection Rate**: AI 出力の誤りの発見率
- **Crisis Response Time**: 有事の検知から初動までの時間
- **Customer Trust Index**: 信頼度の調査指標
- **Data Privacy Compliance Score**: GDPR / CCPA / 改正個情法対応の充足度

## 業界トレンドと新興手法

- **AI 駆動の指標自動分類**: 大量メトリクスを 6 ドメインに自動マッピング
- **CLV 予測モデルの精緻化**: 機械学習による顧客 LTV 推定
- **Brand Lift の AI 化**: 広告効果のリアルタイム推定
- **Learning Velocity ベンチマーク**: 業界平均との比較（まだデータが少ない）
- **AI Risk Scoring**: AI 出力リスクの定量化（17 章と連動）
- **Sustainability KPI**: ESG 観点の指標統合

## 運用補題

### 補題 3-A: 6 ドメインは少なくとも 4 つを同時に観測しないと、最適化が片寄る

1〜2 ドメインだけを KPI 化すると、他ドメインは「測られていないので無視される」状態になる。最低 4 ドメインを観測対象に置く。

- **違反時の失敗**: Pipeline 偏重で Brand Equity 枯渇（補題 I の典型）
- **検出指標**: ダッシュボードに登場するドメイン数 / 6

### 補題 3-B: ドメイン間のトレードオフは経営判断であり、Marketing OS は判断を自動化しない

トレードオフを並べることまでは構造化できる。**どちらを優先するか**は組織の戦略選択であり、AI も CMO Marketing OS Playbook も決定しない。

- **違反時の失敗**: 「AI が言ったから Pipeline を優先した」と AI 判断責任が外部化される（第 6 原則違反）
- **検出指標**: トレードオフ判断ログに人間の判断者と理由が記載されているか

### 補題 3-C: 各ドメインに固有の時間軸を事前に明示しないと、線形評価で施策の正誤を誤判定する

Brand Equity は数四半期〜年、Pipeline は週次、Learning Velocity はサイクル単位、と時間軸が異なる。これを揃えないで比較すると、長期軸のドメインは常に「効果なし」と判定される（補題 I）。

- **違反時の失敗**: ブランド投資を「3 ヶ月で効果が出ない」と止め、指名検索が数四半期後に枯渇
- **検出指標**: 各ドメインの観測時間軸が KPI 設計時に明示されているか

### 補題 3-D: Learning Velocity を意思決定 KPI にしてはいけない（観測 KPI に留める）

Learning Velocity を「速くしろ」と評価対象にすると、AI 採否ログを形式的に埋める / Evidence Level を恣意的に昇格させる、といった歪みが起きる。

- **違反時の失敗**: 採否ログの形式化、E2 → E3 の早期昇格、書き戻しの儀式化
- **検出指標**: Learning Velocity を個人評価 / 部署評価に組み込んでいないか

詳細は [`../cross-cutting/org-learning.md`](../cross-cutting/org-learning.md) §18.6 で扱う。

### 補題 3-E: Risk & Trust ドメインは平時から運用する。有事だけの観測では遅い

ブランドセーフティ違反・AI ハルシネーション・コンプラ違反は、有事に検出しても被害は既に出ている。平時の継続観測が必要条件である。

- **違反時の失敗**: 危機が顕在化してから「実は前から兆候があった」と判明
- **検出指標**: Risk & Trust 指標が定常ダッシュボードに含まれているか

## 事例

### 失敗例: Pipeline 偏重による Brand Equity 枯渇

ある B2B SaaS 企業は 2 年間 ROAS 改善だけを KPI として追い、有料検索の最適化に予算を集中した。指名検索数は当初横ばいに見えたが、3 年目に競合の参入と同時に指名検索シェアが急落、新規獲得 CAC が 2 倍化した。Brand Equity ドメインの観測がなかったため、枯渇の進行が見えなかった事例である。

- **欠落ドメイン**: Brand Equity（指名検索・想起率の観測なし）
- **顕在化**: 3 年目に競合参入で一気に表面化
- **学び**: Brand Equity は遅行指標であり、短期評価では「効果なし」と誤判定される（補題 3-C）

### 成功例: BSC 導入で組織能力を可視化した Mobil（1990s）

Kaplan & Norton の BSC を初期に導入した Mobil の北米精製・販売部門は、財務指標だけだった評価軸に「顧客」「内部プロセス」「学習成長」を加えた。1993〜1998 年で同業界最下位から首位に転じた。

- **追加ドメイン**: 顧客（Customer Value）/ 学習成長（Learning Velocity + Org Capability）
- **効果**: 単一指標では見えなかった改善余地の特定
- **限界**: Marketing OS の 再構築段に相当する「前提再構築」は BSC 単独では起きない

### 失敗例: NSM 単一最適化による組織歪み

Facebook が 2010 年代初頭に "Daily Active Users" を North Star Metric として徹底した結果、長期エンゲージメント・信頼性・コンテンツ品質の劣化が後年に顕在化した（ケンブリッジアナリティカ事件 2018 等）。NSM は強力だが、Brand Equity / Risk & Trust のドメインを単独で守れない。

- **欠落ドメイン**: Brand Equity / Risk & Trust
- **顕在化**: 信頼危機・規制当局介入・ブランド毀損
- **学び**: 単一指標は他ドメインの監視を弱める（補題 3-A）

事例の追加は [`../appendices/references.md`](../../reference/references.md) §E.6 と [`../../case/`](../../case/) を参照。

## アンチパターン

- **Pipeline 偏重で Brand Equity を毀損**（補題 3-A / 3-C 違反）: 短期 ROAS だけを KPI 化し、ブランド資産投資をゼロにする。数四半期後に指名検索の枯渇として顕在化する
- **Learning Velocity を KPI 化することで採否ログが歪む**（補題 3-D 違反）: 「速く回す」評価で採否ログを形式的に埋める運用に陥り、書き戻しの質が落ちる
- **Risk & Trust を平時に無視**（補題 3-E 違反）: 有事になって初めてドメインの存在を思い出す。ブランドセーフティ・AI 出力監視は平時から運用する
- **単一ドメイン最適化**（補題 3-A 違反）: 6 ドメインのうち 1〜2 個だけを見て他を無視する。閉じた最適化への逃避（[`principles.md`](principles.md) Principle 2 違反）
- **dashboard 化による意思決定使途の喪失**: 6 ドメインを単に並べて見るだけで、ドメイン間トレードオフの判断に使わない（[`principles.md`](principles.md) 補題 E 違反）
- **時間軸の不揃え評価**（補題 3-C 違反）: 全ドメインを同一の時間軸（例: 四半期）で比較し、長期ドメイン（Brand Equity）を常に「効果なし」と誤判定する
- **AI による自動トレードオフ判断**（補題 3-B 違反）: AI 出力でドメイン優先度を決め、判断主体が組織から消える

## 関連 skill / agent

- **観測・データ収集系 skill** — ドメイン横断のベースライン取得
- **`/learn`** — Learning Velocity の自己測定、結果のドメイン別書き戻し

skill ↔ process ↔ ドメインの対応は [`../appendices/skill-mapping.md`](../../../base/skill-mapping.md)。

## 今後の拡張論点

- **ドメイン数（4 / 6 / 8）** — 6 が現状案。PMBOK 7 は 8 パフォーマンスドメイン。CMO Marketing OS Playbook で 6 が適切か、Org Capability と Stakeholder を分けて 7 にすべきか
- **Learning Velocity を独立ドメインに立てる是非** — 他ドメインを測る "メタ" 性質を持つため、ドメインとは別のレイヤーに置く案もある（例: 22 章 Maturity Model の単独軸とする）
- **Risk & Trust の射程** — AI 出力リスクが急速に拡大しているため、独立 KA（16 章）とドメイン（Risk & Trust）の両方で扱う設計でよいか。重複の整理が必要
- **業種別ドメイン重み付け** — B2B エンタープライズと D2C で各ドメインの重要度は大きく異なる。本章で重み付けの指針を示すか、19 章 Tailoring に委ねるか
- **指標例の網羅範囲** — 各ドメイン §3.2.X に "主要指標例" を 3〜5 個列挙したが、これを appendix に集約するか本章に残すか
- **§3.6 既存学派カタログ** の網羅範囲: BSC / OKR / NSM / AARRR / PMBOK 7 / MPM / EBIT-Driven / CLV / Brand Value Chain / ESG を入れたが、業界寄り（Marketing Accountability Standards Board / MASB 等）も必要か
- **§3.7 理論的背景** と 13 章（計測・MarTech）との分担: マーケ会計・測定論（Srinivasan & Hanssens, Lenskold, Farris 等）は本章と 13 章のどちらに置くか。本章は「観測軸」、13 章は「計測手法」で分けたが、引用文献の重複あり
- **§3.8 フレームワーク** の所在: 各ドメインで 5〜6 個のフレームを列挙したが、Customer Value / Brand Equity 系は 06 / 07 / 08 章と重複しうる。本章はサマリ、KA 章は詳細で分担するか
- **§3.10 補題 3-D**（Learning Velocity を意思決定 KPI にしない）の運用: 22 章 Maturity Model では Learning Velocity を評価軸として使う。本章補題と矛盾しないか、観測 KPI と評価軸の語の規律（補題 7 / 第 7 原則）で分離するか
- **§3.11 事例** の事例選定: Pipeline 偏重 / Mobil BSC / Facebook NSM を入れたが、日本企業の事例が欠落している。地域バイアスを補正すべきか
